太陽光発電では平均よりやや小さめな4kW。このソーラーパネル4kwを設置すると実際にどうなるのか。
平均のデータでは見えてこない、4kW太陽光発電の収支をシミュレーション開発者が解説します。発電量や設置費用、売電収入など、パターン別に紹介します。
太陽光発電(ソーラーパネル)4kWの結果
4kWでは初期費用の違いで結果が2倍変わる
早速ですが、結果からご紹介します。
設備容量(パネル容量)4kWの太陽光発電の25年間の収支は、平均的な価格のプランなら+47万円、コスパに優れたプランの場合なら+95万円です。
平均的なプラン※1 | コスパ良プラン※2 | |
設置費用 | 127万円 | 90万円 |
維持費用 | 32万円 | |
年間発電量 | 4,219kWh | 4,524kWh |
節電収入 | 106万円 | 106万円 |
売電収入 | 100万円 | 111万円 |
収支(利益額) | +47万円 | +95万円 |
最終収支は、初期費用の影響で2倍も違うことがわかります。
補助金を活用したりすることで、利益額100万円が目指せるでしょう。
計算条件
※1 平均的なプランとは
平均的なプランとは、経済産業省の2020年の太陽光発電想定設置費用と、日本産業規格(JIS)に記載の推奨効率等を用いた場合の太陽光発電です。ただし、4kWの場合だと、平均よりも若干小さいため、本来はこの金額よりも高くなるでしょう。
※2 コスパ良のプランとは
コスパ良のプランとは、小さめでも23万円/kWを切るような価格、かつ基本設計係数の高いシステムを用いている会社のプランです。
※その他の計算条件
- 設置場所:横浜(既築)
- 屋根の向き:南向き
- 傾斜角:30度
- 1か月の電気代:1.2万(東京電力スタンダードS・50A)
太陽光発電(ソーラーパネル) 4kWの結果内訳
設置費用
4kWのソーラーパネル容量では、127万円以上の初期費用がかかるのが平均的な場合です。太陽光発電の設置費用のキロワット単価は、設置容量が多いほうが安くなります。そのため、127万円よりも少し高くなってしまう場合があるでしょう。
しっかりと初期費用を安く抑えることに成功すれば、4kWの場合でもキロワット単価23万円以下で設置が可能です。その場合には、90万円ほどで設置が可能になります。
総額で考えるとだいぶ手に入りやすい価格ではないでしょうか。
平均的なプラン | コスパ良プラン | |
パネル費用 | 71万円 | 49万円 |
パワコン費用 | 17万円 | 13万円 |
工事費用 | 30万円 | 25万円 |
その他の費用 | 9万円 | 5万円 |
設置費用合計 | 127万円 | 90万円 |
「初期費用を抑える」ことが悪いことのように感じる人がいますが、「発電量」が同じであれば初期費用が安いに越したことはありません。さらにいえば、初期費用が安くてさらに発電量が多い場合もたくさんあります。
太陽光発電は多くの部分を数値で判断ができます。雰囲気に騙されないで、しっかりと選びましょう。
維持費用
維持費用は、おおよそ30万円と少しを見積もっておけばいいでしょう。
維持費用には、2つの項目があります。パネルについての点検・メンテナンスと、パワコンの交換です。
パネルの点検は、4年に1回の頻度が推奨されています。パワコンの交換は、20年後に一度行います。
点検とメンテナンス費用は、一回当たり2.9万円とされています。また、パワコンの交換費用は、おおよそ15万円ほどは見ておきましょう。
平均的なプラン | コスパ良プラン | |
点検費用(6回) | 17万円 | |
パワコン費用 | 15万円 | |
設置費用合計 | 32万円 |
発電量
4kWの太陽光発電の場合、発電量は年間で4,200kWh~4,500kWhほどになります。これは、月の電気料金が1.2万円の家庭の電力使用量は、年間で4,632kWhと計算できますので、それを少し下回る数値になります。
平均的なプラン | コスパ良プラン | |
基本設計係数 | 0.76 | 0.81 |
年間発電量 | 4,219kWh | 4,524kWh |
年間電力使用量 | 4,632kWh |
「平均的なプラン」と「コスパが良いプラン」の両方とも容量は4kWですが、パワコンのエネルギー損失などにより、実際の発電量は異なります。
さらに、同じ4kWの場合でも、日射量の違いによっても発電量は異なります。日射量は、地域や、屋根の傾斜角・方位角によって変わるため、有利な家と、そうではない家があります。
先ほどのデータは、真南を向いた屋根を想定していたので、有利な家の設定でした。
もう少し不利な条件の家だとどうなるのかを、4kWのパネルの場合で見てみましょう。
方位角を変えた場合
方位角とは、屋根面が、真南を0度としてどの方角を向いているかを表します。
先ほどは、方位角が0度、すなわち真南を向いている家を想定していいました。角度が西や東を向くと、発電量がどうなるのかを見てみます。
方位角 | 発電量 | 真南からの減少率 |
0度 | 4,524kWh | |
15度 | 4,501kWh | – 0.5% |
30度 | 4,424kWh | – 2.2% |
45度 | 4,307kWh | – 4.8% |
60度 | 4,149kWh | – 8.3% |
75度 | 3,963kWh | – 12.4% |
90度 | 3,759kWh | – 16.9% |
上の表は、コスパ良プランでの場合の結果です。
屋根が東を向いている場合や、西を向いている場合には、4000kWhに満たない発電量になります。
ただし、東と西の屋根両方にパネルを設置できるのであれば、合計の発電量は南1面だけの場合よりも大きくなります。屋根の面が南を向いてないからとって、一概に不利とも言い切れません。
傾斜角を変えた場合
傾斜角とは、水平面に対して屋根がどれだけ傾いているかを表します。先ほどは、一般的な屋根の傾斜角である30度に設定して計算しました。
この傾斜角を、平面の場合(0度)から、急勾配の場合(60度)まで変えてみます。
さらに、「もしも家の壁に太陽光発電を設置したらどうなるか(90度)」も検証してみましょう。
以下は、同じく、コスパ良プランの結果です。
傾斜角 | 発電量 | 30度からの減少率 |
0度 | 4,022kWh | – 11.1% |
10度 | 4,270kWh | – 5.6% |
20度 | 4,447kWh | – 1.7% |
30度 | 4,524kWh | |
40度 | 4,501kWh | – 0.5 % |
50度 | 4,384kWh | – 3.1% |
60度 | 4,171kWh | – 7.8% |
(90度) | 3,054kWh | – 32.5% |
屋根の傾きは、20度~40度ほどが最適になります。また、少し角度が変わるくらいでは、そこまで発電量に差は出ません。
もしも角度が60度もある急な屋根だとしても、4,000kWhを超える発電量は確保できるでしょう。
ただし、さすがに壁に設置するとなると、発電量は少なくなります。ほとんど3分の1の発電量である3,000kWhになってしまうことがわかりました。
この記事は、「【連載企画】太陽光発電が得か損か、シミュレーション開発者が全て解説します」の一部です。今回は、太陽光発電の最も重要なポイントである、発電量に関する記事になります。太陽光発電の発電量に関しての記事はたくさんあります[…]
節電収入・売電収入
節電収入は、平均的なプランでもコスパが良いプランでもほとんど変わりません。どちらも106万円ほどとなっています。売電収入は、平均的なプランで100万円、コスパ良プランで111万円と、合計では11万円の差が出ます。
平均的なプラン | コスパ良プラン | |
自家消費率 | 31% | 29% |
毎月の節電収入 | 3,540円 | 3,543円 |
毎月の売電収入(FIT期間) | 4,900円 | 5,412円 |
合計節電収入 | 106万円 | 106万円 |
合計売電収入 | 100万円 | 111万円 |
合計収入 | 206万円 | 217万円 |
平均的なプランでは、自家消費率が高いですが、それは、売電収入が少ないから。
今回のように自家消費率が高いことは、それ自体いいことではありません。発電量が多くなれは必然的に自家消費率は低くなりますので、本当は「自家消費率が低いほうがお得額が大きい」という関係があります。
もちろん、同じ発電量であれば、自家消費率が高いほうがお得になるでしょう。
では、発電量は同じで自家消費率が異なる場合を見てみましょう。
月の電気代が2万円のとき(自家消費量UP)
たくさん電気を使う家庭は、発電した電気が余ることが少ないので、同じ発電量でも自家消費率が高くなります。
先ほどは、毎月の電気代を税込み1.2万円としていました。続いて、税込み2万円の電気代の家庭だとどうなるか計算してみます。
平均的なプラン | コスパ良プラン | |
自家消費率 | 50% | 47% |
毎月の節電収入 | 5,918円 | 5,919円 |
毎月の売電収入(FIT期間) | 3,295円 | 3,838円 |
合計節電収入 | 178万円 | 178万円 |
合計売電収入 | 68万円 | 79万円 |
合計収入 | 246万円 | 257万円 |
電気代が2万円のときは、自家消費率がほとんど50%に到達しています。その場合だと、売電収入+節電収入で250万円を超えることが可能です。
この場合には、合計の利益も相当高くなります。
もしも家の電気代が高い人であれば、また、オール電化などであれば、より太陽光発電のメリットが増えることになります。
月の電気代が6千円のとき
今度は逆に、電気代が少ない家庭をみてみましょう。
先ほどの1.2万円や2万円に対して極端に少ない、6千円の家庭です。
平均的なプラン | コスパ良プラン | |
自家消費率 | 15% | 14% |
毎月の節電収入 | 2,352円 | 2,352円 |
毎月の売電収入(FIT期間) | 6,200円 | 6,735円 |
合計節電収入 | 71万円 | 71万円 |
合計売電収入 | 128万円 | 138万円 |
合計収入 | 199万円 | 209万円 |
だいぶ自家消費率が下がり、15%ほどとなりました。
その結果、電気代が2万円のときは250万円をこえていた収入が、200万円前後となりました。しかし、それでも200万円もあります。
また、やはりコスパの良しあしで10万円も差が出ています。
実は、節電収入や売電収入は、とてもたくさんの計算をしないと出すことができません。そして、電気の発電量が同じでも、50万円以上変わってしまうこともあります。
発電量だけではなく、その発電で結局いくら収入を得られるか?に着目しましょう。
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4kWの結果がずれる場合
今回のシミュレーション結果に対して、結果がずれる場合をご説明します。
いい方向にずれる(利益UP)
- 日射量が横浜よりも多い(たとえば甲府の日射量は、横浜より10%以上多い)
- 25年間、いい天気が多い
- さらに費用が安くできた
- 電気の消費量が多い家庭
悪い方向にずれる(収支down)
- 日射量が横浜より少ない(札幌の日射量は、横浜より5%少ない)
- 25年間、悪い天気が多い
- 費用が思ったより高くなった(瓦屋根の場合など)
- 電気の消費量が少ない家庭
4kWの結果がもっと知りたい人は、見積もりとシミュレーションをしてみよう
4kWの発電量では、平均的な設置費用は130万円ほどかかります。しかし、平均的な価格で設置をしていると、コスパのいいプランに対して利益が半分以下(95万円→47万円)になってしまうことがわかりました。
たった1回の判断で、数十万円も変化してしまうのです。雰囲気やイメージに騙されずに、しっかり判断するようにしましょう。
また、同じ4kWの場合でも、自家消費率や屋根の向きによって、最終的な利益は全く異なることがわかりました。
今回は、ある特定の条件において計算をしましたが、本当はあなたにぴったりの条件で計算をしてみるべきです。
そのために必要なことが、個別見積もりです。
太陽光発電で損しないためには初期費用を下げることが重要です。
お得に設置したい場合、一括見積サイトにて複数社見積りをとって検討することが最も早く、やり取りも難しいものではありません。
数ある一括見積サイトの中でも、最低限トップ3であるソーラーパートナーズ【住宅用】、タイナビ、グリエネは全て見積り依頼をしましょう。
販売店の違いだけで数十万円は簡単に変わりますので、手間に対しての価値が非常に高い項目です。
できるだけ多くの情報を仕入れて、素晴らしい太陽光ライフにしましょう!