今回は、太陽光発電の最も重要なポイントである、発電量に関する記事になります。
太陽光発電の発電量に関しての記事はたくさんありますが、残念ながら間違った内容を言っている記事も多いのが現状です。
そこで、私たちのサイト「みんなの太陽光発電」の簡単シミュレーション、そしてProシミュレーションの開発担当者が、発電量の計算方法を全解説いたします!
これを見れば、間違った記事や営業に騙されたり、後悔する心配もなし!さっそくご覧ください。
また、とっとと計算方法だけ知りたい!というかたは、 ここからどうぞ
太陽光発電の発電量とは何かをおさらい
念のため確認となりますが、太陽光発電の発電量とは、単位がkWhで表される「電気の量」です。
発電量 = 発電電力 × 時間
で計算することができます。
ただし、太陽光発電における発電量は、私たちが利用する電化製品の使用電力量のように、時間に対して一定ではありません。

そのため、上の図でいうと、右側のグニャグニャと曲がった図形の面積を計算しないといけないわけです。
今回求めたい発電量とは、上の図の難しい形なんだなと頭の片隅に置きながら、読んでいただければと思います。
そもそも発電量って何?という方は、まずこちらの記事からご覧ください。
太陽光発電を始めるうえで欠かせないのが、「発電量」とのお付き合い。毎日、毎月、毎年と、「発電量」に一喜一憂することになるのかも。よく言葉としては出てくるけど、実は「発電量」が何かわからない。今回は、そんな方のために、発電量[…]
太陽光発電の発電量を考えるときの3つの期間

さて、今までは発電量と漠然と言っていましたが、実は「どの期間の」発電量かが、今後発電量について考える上でとても重要です。
長い時間での発電量は、短い時間での発電量に比べて大きくなるのは当然ですよね。
そこで「どの期間の」発電量かがあり、それぞれどのような特徴があるのかをご紹介しましょう。
一日の発電量

最も基本的な期間を言うのならば、「一日」です。
時間としては、朝から夜までの24時間です。太陽光発電は、太陽によって発電されるので、この1日が基本的なサイクルとなります。
そして、この期間に発電された電力が「一日の発電量」です。
一日の発電量は、以下のような特徴を持っています。
- 太陽が出ている昼の影響が大きい。
- 夜は発電ができない。
- 天気がいい日のほうが発電量が多い。
当然の結果ですね。
一年の発電量

続いて、私たちが考えたい期間が、「一年」です。
一日の積み重ねを365回するのですが、そうすると、単純な一日の積み重ねでもないことに気づきます。
日本には、四季があるからです。
先ほどの一日の発電量の特徴とは別に、一年の発電量は、以下のような特徴を持っています。
- 夏は太陽が出ている時間が長いため、発電量が多い。
- 冬は太陽が出ている時間が短いため、発電量が少ない
- 梅雨の時期は天候が悪いことが多いため、発電量が少なくなりやすい。
一生の発電量

最後に、「一生」を考えましょう。
一生とは、太陽光発電を導入してから廃棄するまでの期間になります。
通常、太陽光発電のパネルは25年か30年持つと言われていますので、その場合はその期間。
それまでに住宅を壊すなどしてしまう場合は、壊すまでの期間が「一生」ということになります。
基本的には毎年の発電量を繰り返すことになりますが、それでも年によって天候は多少異なります。梅雨が短い年もあれば、梅雨が長い年もあることは経験していると思います。
そして、だんだんと太陽光パネルが消耗していき、全体的な傾向としては、発電量が落ちていくことになります。
ただし、一年間の変動とは異なり、太陽の日射時間は、年によってほとんど変わりません。日の出と日の入りが同じ時間になるように設定しているのが「一年」なので、当たり前ですね。
1つ注意点があるとすれば、閏年に関しては、一年が366日と一日長くなりますので、他の年よりも0.3%ほど有利になります。
今までと同じように、特徴をまとめると以下のようになります。
- 一生は、20年以上。
- 年ごとの発電量は、天候によって多少異なる。
- 太陽光パネルの消耗に伴って、少しずつ発電量は少なくなる。
太陽光発電の発電量は、毎日の発電量を積み重ねる

それでは、太陽光発電の発電量を計算する場合は、どの期間を考えればいいでしょうか。
太陽光の発電量の計算における基本的な考え方は、毎日の発電量を積み重ねるということです。
何日分とするかはその時その時によって違いますが、まずは一日の発電量をすべての日において計算し、そのあとでそれを合計します。
そのため、これから計算するのは、「一日の発電量」であることに注意してください。
日射量データを活用する
一日の発電量を計算するの必要な情報は、もちろん
発電電力 × 時間 です。
何度も見せているグニャグニャした図なのですが、実はこの面積、計算する必要がないんです。
なぜかというと、太陽光発電のように、この面積が欲しい人がたくさんいるので、国がまとめてデータを出してくれているからです。
ただし、そのかわり「太陽光の発電量」のデータではないため、少し修正をする必要があります。
ではさっそく、そのデータを少し見てみましょう。

なにやら、先ほどの図と似ていますね。
実はこれは、太陽光の日射量が、一日のうちにどうなるかを表したデータです。昼間にはたくさん太陽が出ていて、夜にはほとんど出ていないことを表します。
そして、この面積を計算したデータも出してくれているため、(比較的)簡単に発電量を計算できるというわけです。
つまり、
一日の日射量推移のデータ ⇒ 一日の日射量の合計データ ⇒ 一日の発電量のデータ
という順番で、一日の発電量を計算します。
発電量の計算方法

一日の発電量の計算方法
今までの説明で、一日の日射量の合計データを一日の発電量のデータに変換すればいいことがわかりました。
では、どのように、一日の日射量のデータを、一日の発電量の結果に直すのでしょうか?
そのためには、「パネルの変換効率」と、「損失係数」を使います。

上の図で確認してみましょう。
まず、日射量データが与えられています。
これは、太陽の光のデータのため、これをすべて電気に変換(発電)できれば一番です。
しかし、実際はそうもいきません。
太陽光パネルは、太陽光エネルギーのうち一部しか電気に変換できないため、ロスが発生してしまいます。
さらに、パワーコンディショナーという機器や、その他回路の損失などにより、実際に発電できる電力量は少なくなります。
これらの減少を考えて、最後に残ったものが発電量というわけです。
一年間の発電量の計算方法
日射量データには、雨の日のデータも、晴れの日のデータも、夏の日のデータも、冬の日のデータも全てそろっています。
なので、一年の中で希望する日付のデータを用いて、毎日の発電量が計算できるわけです。
たとえば、私たちのシミュレーションページで計算した、一年間の発電量の計算結果を載せておきます。

6月に発電量が少ないことや、夏には多く発電していることが確認できますね!
一生の発電量の計算方法
最後に、太陽光発電システム全体を通しての発電量の計算方法です。

先ほどお伝えした通り、本当は年によって天候の条件は異なるので、波になるのが普通です。
しかし、毎日の発電量データとして、「平均値」を使うので、この波の真ん中を通るような線で発電量を計算していることになります。

そのため、デメリットとして考えられるのが
「あれ、意外とシミュレーション結果より少ない」
というのは、必ず起こるということです。
そして、そのかわり、シミュレーション結果より多い年もその分あるはずです。
これらの条件から外れるのは、天気の悪い年がずっと場合ですが、「天気の悪い年が20年続いた場合」もPro版でシミュレーションできますので、気になる方はお問い合わせください。
もう一つの要素の経年劣化に関しては、最初から係数に含める方法と、毎年反映させていく方法があります。
FITがある現状ですと、毎年反映させていくほうが正しく有利に計算できるというメリットはありますが、太陽光発電のその反映の仕方をどういう扱いにするかは注意が必要です。
発電量だけではなく、発電価値に注意しよう
太陽光発電の発電量の計算方法について、なるべく数式を使わずに説明しました。
発電量について気になる方が多いようですが、実際に一番大事なのは、「どれだけ電気を発電したか」ではなく、「発電した電気がどれだけ価値を持つのか」という部分です。
この価値の計算というものが曲者で、業者側がどうとでも操作ができてしまうところです。
実際に、大きなシミュレーションサイトでも、私たちと比較して太陽光発電に80万円も大きい価値で計算しているシミュレーションがあるくらいです。(発電量が同じ場合にもかかわらず)

そのため、シミュレーションには特に注意を払い、後悔することのないようにしましょう。
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