経済産業省のデータによると、2020年の太陽光発電の設置費用の目安・相場は、29 万円/kWです。また、運転維持費用の目安・相場は、3,000円/kW/年です。
そのため、たとえば、5kWの太陽光発電では
- 設置費用(システム費用):145 万円
- 維持費用:1.5 万円/年
コストがかかることになります。ただし、既築住宅の場合は、これよりも9%ほど費用が高くなります。
費用を安くする方法は?騙されないためのポイントは?皆さんが気になる、住宅用太陽光発電の価格に関して総まとめします!
78%の人が、設置費用・初期費用を気にしています!

業者からの見積もりを取った時、「この価格は相場に対して適正なのか」と気になったことはありませんか?
何かを検討するうえでコストは非常に重要な要素で、多くの方が同じように思っています。
上図は住宅用太陽光発電を導入した方1万人以上に向けに実施したアンケートで「導入時に特に重視した点」をまとめたものです。
中でも圧倒的1位にあがったのが「初期費用(設置費用、導入価格)」で、77.9%の方が重視した項目となっています。
やはりみなさん特に気になさっている項目であるというのがよくわかります。
2020年の設置費用相場は、29万円/kW

2020年度の住宅用太陽光発電の相場は、29万円/kWです。
2019年の価格に比べて、およそ8%の価格低下が期待されています。
ちなみに、「円/kW」とは、太陽光発電の設置費用をで表す単位です。「kW単価」と呼ばれます。
現在、自宅の屋根への太陽光発電設置を検討する方が増えています。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://www.solar-energy.site/economy/solarpower-merit-de[…]
設置費用は7年で30%低下
太陽光発電の設置費用は、ここ数年で大きく低下しています。

2012年の設置価格と比較すると、2019年には約30%も値段が下がっています。
そのおかげで、どんどん私たちの身近な発電方法になってきています。2030年には、新築住宅の90%に太陽光発電がつくという試算もあり、ますます目が離せません。
安くなるなら、もう少し待ってからつけたほうが良いのではないか?と思う方もいるかもしれません。
しかし、その分今度は売電価格が低くなってしまいます。
太陽の屋根にふる太陽光を早く活用するにも、太陽光発電は、「お得であるなら早くやる」ことが重要です。
既築住宅に限ると32万円/kW(+9%)
ただし、先ほどの費用は、「新築住宅」と「既築住宅」の両方を合わせた場合です。
既築住宅の場合は、新築住宅よりも値段が高めです。2019年においては、平均価格の+9.5%の費用となっています。
それを基に計算すると、すでに住宅を持っている人が太陽光発電を入れる場合の費用の目安は、31.75万円/kWです。
既築の住宅で太陽光発電を入れようと思っている人には残念なデータとなってしましました。
ただし、新築でも既築でも、大事なのは平均価格ではありません。次の内容をみれば、わずか数%の差など気にならなくなります。
設置費用の最安水準は、20万円/kW
さきほどのデータは、平均的な価格の推移でしたが、私たち消費者が知るべきは、その分布です。
2019年の平均価格は32.1万円/kWでしたが、分布はどうなっているでしょうか。

太陽光発電は、設置費用に大きく差があります。
上のグラフをみていただくとわかりますが、平均の価格が32万円/kWであるのに対して、上位5%の水準だと21.6万円/kW以下で設置ができることがわかります。
その差、実に33%です。
さらにいえば、これは平均価格と比べた場合。
平均価格より33%も安い値段があるということは、平均価格よりはるかに高い値段で設置している人もいるということです。
その2つを比較すると、差は2倍にもなります。
「太陽光発電は、平均価格がそもそも高い」と意識しておくといいでしょう。
ちなみに、太陽光発電は、平均価格で導入すると63%が損をするというデータが環境省により出されています。
損をしたくない人は、ぜひチェックしておきましょう。
太陽光発電が、結局お得なのか、損なのか、そんな疑問にお答えするシリーズ【連載企画】太陽光発電が得か損か、シミュレーション開発者が全て解説します今回は、その結論として、太陽光発電が「多くの人が損する」「多くの人が得する」とい[…]
設置費用の内訳「4+1個」を知ろう
経済産業省の資料などでは、設置費用には主に4つの項目があるとされています。
- パネル
- パワコン
- 架台
- 工事費
それらの中では、パネル、工事費、パワコン、架台の順に費用が大きくなります。

そのため、この価格より圧倒的に安い部分がある場合には、チェックをしたほうがいいでしょう。
瓦屋根・3階建て・屋根の小さい家は、工事費が高くなりやすい
「太陽光発電が向いていない家」がどのような家かご存じでしょうか。
1つは、屋根が北を向いている家。これは、発電量が小さくなるからです。
そしてもう一つ、向いていない家があります。
それは、「瓦屋根」や「3階建ての家」そして、「屋根の小さい家」です。なぜかというと、工事費が高くなりやすいからです。
- 瓦屋根
- 瓦をはがす必要がある
- 専用の架台が必要
- 屋根面の数が多く、構造が複雑なことが多い
- 3階建て
- 設置するのに足場が必要
- もともと屋根面積が大きくない家が多い
- 屋根の小さい家
- 工事費は定額部分があるので、kW単価にすると高くなる
もちろん、屋根が南を向いていたり、十分に屋根が広かったりと、他の有利な点があることで、通常の家よりもお得になることもあり得ます。
ただし、これらの家に当てはまる場合は、先ほどの設置費用の水準から少し高くなることは覚悟しておきましょう。
設置費用に隠された+1を知ろう
そして、もう一つ重要な項目をご紹介します。これらの設置費用に隠された費用です。
それは、「業者の費用や利益」です。
実は、先ほどの「システム費用の内訳」は、「原価」のことを表しているのではありません。

工事費の人件費は必ずかかる部分ですが、他の費用に関しては、太陽光発電を始める人にとっては「無駄」な部分です。
実は、太陽光発電は、まだまだ業界として未熟です。効率化が進んでいない部分がたくさんあります。
先ほど見せたように、値段に大きく幅があるのもそれが理由です。

「売り値」が高いからといって安心することはやめましょう。無駄な費用が発生しているために、高くなっているのかもしれません。
では、「賢い消費者」となるにはどうしたらいいでしょうか?
賢い消費者は「コスパ」で選ぼう

まだまだ無駄が多く、高い設置費用も横行する日本の太陽光発電業界。「騙された!失敗した!」となる人や、それすら気づかない人もいるかもしれません。
だからといって、値段が一番安いものを選べばいいのか?となると心配ですよね。
賢い消費者になるための太陽光発電を選ぶ基準はずばり、「コスパ」で選ぶこと。
コストはもちろん設置費用や維持費用のこと。
では、太陽光発電の「パフォーマンス」とはなんでしょうか。
太陽光発電のパフォーマンスは「発電した電気の価値」でしかない
「パフォーマンス」って、難しいですよね。
たとえば、お店でご飯を食べることを考えてみましょう。
Aの料理を頼むか、Bの料理を頼むか迷ったとします。そのとき、料理の「パフォーマンス」には、いろいろあります。
- 美味しさ
- 量
- 栄養バランス
- 香り
- 昨日食べたものと被っているか
などなど。
これらすべてをまとめて考えないといけないので、Aの料理にするかBの料理にするか、選ぶのは大変です。
でも実は、太陽光発電のパフォーマンスは、他の買い物に比較して、とても簡単に知ることができます。
なぜなら、太陽光発電の機能は「電気をつくる」ことだけだからです。
そして、「電気をつくる」ことで発揮される太陽光発電のパフォーマンスは、たった3つです。

- 作った電気がお金に変わる
- 作った電気が環境に良い
- 作った電気が非常用電源になる
3つもあって大変!と思ったあなた、ご安心ください。
この3つの中で、Aの太陽光発電と、Bの太陽光発電で変わるのは、「お金に変わる」という部分だけ。
どちらにしても環境に良いし、どちらにしても非常用電源にはなります。
つまり、太陽光発電のパフォーマンスは、「つくった電気が、どれだけお金に変わるのか?」この1点に注目しましょう。

実際に、A・B・C、3つの太陽光発電システムを比べてみましょう。
タイプ | 費用 | 発電量 | 手に入るお金 | コスパ(利益) |
A | 90万円 | 100kWh | 100万円 | 10万円 |
B | 100万円 | 150kWh | 150万円 | 50万円 |
C | 200万円 | 170kWh | 160万円 | -40万円 |
一番安いからとAを選んだ場合、残念ながら手に入るお金が少なく、利益はたった10万円。コスパは2番目の結果になりました。
100万円のBを選んだ場合は、手に入るお金は150万円と2番目ですが、コスパは第1位になりました。
一番悲惨なのは、わざわざ高額の費用を払ったCです。おそらく、手に入るお金以外の「高級感」などに惑わされたのでしょう。
これがよくある、「太陽光発電で失敗した」となるパターンです。
最後に1つ重要なポイントを。
それは、「太陽光発電で手に入るお金」は、正直あまり変わらないということです。
あなたの屋根に降り注いでいる太陽の量は同じです。そして、その太陽を電気に変える変換効率も、さほど違いはありません。
そのため、まずは、先ほどお見せした安い価格帯を参考に、そのあとコスパを比較してみるのがいいでしょう。
設置費用を安くする方法3つ
見積もりをしよう
見ていただいたように、設置費用は、パネル・販売店によって2倍以上異なります。
ならば、おおよその設置費用の分布をたよりに、まずはいろいろなお店に見積もりを取ってみましょう。
その時参考にしたいのが、「コスパの考え方」と、「費用の仕組み」です。
後悔しないようにしましょう。
リフォーム・新築と一緒につけよう
太陽光発電で2番目に大きな費用が、「工事費」でした。
この工事費を安くできるのが、リフォームや新築のタイミングです。
もしも、新築の家を考えていたり、リフォームもちょうどいいかなと思っているのであれば、まとめて見積もりをしてみるのも手かもしれません。
補助金を使おう
太陽光発電には、都道府県、市町村区ごとに補助金があります。
この補助金をうまく使うことで、さらにお得に太陽光発電を始めることが可能です。
たとえば、東京都では、5kWの太陽光発電に対して50万円の補助金がでる事業もあります。
どのような補助金があるか、また、どのようなプランであれば自分に対象なのか、気になる方がいればお問い合わせページよりご相談ください。
「お得度」のシミュレーションをしてコスパを知ろう

私たちが判断基準にするべき「コスパ」。これを自分で計算するなんて大変です。
おすすめなのが、太陽光発電の「コスパ」を計算してくれるシミュレーションです。
みんなの太陽光発電でも次の2つのシミュレーションを自社開発しています。
せっかくですので、開発業者から見たシミュレーションについての注意事項をいくつか説明します。
シミュレーションは「発電量」だけではなく「お得額」で
多くのシミュレーションは、太陽光発電の「発電量」しか計算しないことがあります。
しかし、先ほど見ていただいた通り、重要なのは、「お得額」です。「発電量」ではなく、結局どれだけお得になるのか?に注目するようにしましょう。
都合のいいシミュレーションをいってくる業者がたくさんいます
ぱっと見で太陽光発電が儲かるように見せるために、ほとんどあり得ないシミュレーションを平然と見せてくる業者がいます。
ネットで出てくるシミュレーションを検証した結果、80万円も都合よく見せているサイトがありました。
コスパで判断するといっても、そのコスパに信頼性が持てないのなら話になりません。
見破るポイントはいくつかありますので、もしもシミュレーション結果で気になる部分があれば、比較してみるようにしましょう。
この記事は、「【連載企画】太陽光発電が得か損か、シミュレーション開発者が全て解説します」の一部です。太陽光発電の1番のメリットとして、「お得」ということが挙げられます。しかし、本当にお得なのか?ちゃんと儲かるのか?心配な方は多[…]
シミュレーションを作っている会社と、太陽光を販売している会社は同じですか?
太陽光発電でシミュレーションをする際に、ほとんどの場合は以下のどれかでしょう。
- 販売会社が、コストはしっかり、お得額は雑にシミュレーションしている
- シミュレーションサイトが、コストは雑に、お得額はしっかりシミュレーションしている
- コストもお得額も雑に計算している
ポイントは、ちゃんと説明できるか?という一点です。
シミュレーションですので、コストもお得額もしっかり計算していないと意味ないですよね。
なんにしても、太陽光発電にはお得額のシミュレーションが必須です。コスパをしって、賢く太陽光発電を始めましょう。
0円太陽光!初期費用・設置費用無料のプランが人気

設置費用を高くて始めにくい!という声が多いことに応えて、いま、初期費用0から始められる太陽光発電があることをご存じですか?
ゼロ円設置モデル、第三者所有モデル(TPO)、電力購入契約(PPA)などと呼ばれる太陽光発電の仕組みについて簡単に解説します。
屋根借りモデル
- 自分の屋根をかして、他の人が太陽光発電を設置する
- 毎月屋根を貸すお金がもらえる
- 太陽光発電は、自分のものではない
- 集合住宅向け
- 全力売電のため「電気の価値」が低くもったいない
電力販売モデル
- 事業者の負担で太陽光発電を設置
- 発電した電気は、事業者から住宅所有者に販売される
- 普段の電気代よりも安く電気を買える
- 太陽光発電は、自分のものではない
リースモデル(おすすめ!)
- 普通に購入する太陽光発電と同じシステム
- 毎月リース料を支払わなければならない
- リース料を支払っている間も、発電した電気は自分のもの
- リース料は、売電や節電で実質的に安くなる
- 10年後に無償譲渡されるものが多い。
通常の一軒家の場合は、おすすめは「リースモデル」です。
リースモデルについての詳細は、お手軽プランの詳細をご覧ください。
維持費用の相場は、1.5万円/年

長々と初期費用について解説しましたが、太陽光発電でかかるお金はこれだけではありません。
- パワコン交換費用
- 点検費用
といった、維持費用がかかってきます。
令和2年度の調達価格等に関する意見(経済産業省) によると、維持費用の相場は、3000円/kW/年です。
つまり、5kWの太陽光発電システムの場合で、年間1.5万円費用がかかることになります。
太陽光発電の寿命は、20年以上、30年ほどといわれていますので、
合計で30~45万円は維持費がかかります。
太陽光発電の「コスパ」を考えることは重要であると何度も言いましたが、このコスパには、維持費用を含めるようにしましょう。
収入は来たけど、結局維持費用で全部なくなってしまった!とならないよう、注意することが必要です。
太陽光発電のソーラーパネルは、寿命が20~30年もあります。そのため、一度屋根に設置したからといって、そのままにしていいものでもありません。「太陽光発電の設置費用の相場と安くする方法」がわかった次は、定期点検、パネルのメンテナンス[…]
住宅タイプ別、設置費用の具体例
ここからは、実際に設置費用・初期費用がいくらくらいになるのか、具体的な住宅タイプ別にみていきましょう。
ただし、新築・既築あわせたものとします。
大きい屋根(6kW)、スレート屋根

まずは、大きい屋根をもった、2階建ての住宅。
屋根の種類は、日本で一般的に使われている「スレート屋根」ということにします。瓦屋根ではないということですね。
大き目の屋根ということで、少し多めの設置容量が6kWということにしましょう。
価格水準 | kW単価 | 合計費用 | 差額 |
標準 | 27万円/kW | 162万円 | |
目標 | 18万円/kW | 108万円 | -54万円 |
- もっともkW単価を安くできる
- kW単価20万円をゆうに切ることも可能
- kW単価の違いが合計金額の大きな差になる
- 初期費用の合計が高くなるので、初期費用0のプランもおすすめ
標準の屋根(4.5kW)、スレート屋根

続いては、屋根の大きさが中くらいのスレート屋根。
日本にあるほとんどの住宅をイメージしてもらえればいいでしょう。
太陽光発電の平均的な容量は4.5kWですので、4.5kWを導入することを考えます。
価格水準 | kW単価 | 合計費用 | 差額 |
標準 | 29万円/kW | 130.5万円 | |
目標 | 20万円/kW | 90万円 | -40.5万円 |
- 日本の一般的な住宅
- 標準の価格でいれると損になりやすい
- 合計費用で100万円以内には抑えたい
小さい屋根(3kW)、スレート屋根

続いて、屋根の大きさはそこまでないという住宅。
先ほどと同じスレート屋根・二階建てですが、設置容量は3kWです。
さて、この場合はどうなるでしょうか。
価格水準 | kW単価 | 合計費用 | 差額 |
標準 | 35万円/kW | 105万円 | |
目標 | 26万円/kW | 78万円 | -27万円 |
- 合計費用は一番安い
- kW単価は平均よりも高くなる
- 発電量は低いので、シミュレーションは特に重要
大きい屋根(6kW)、瓦屋根

瓦屋根や3階建てのパターンです。
一般的なスレート屋根よりも、設置費用は上がってしまいます。
先ほどの大きい屋根の場合と同じように、6kWの時の費用をみてみましょう。
価格水準 | kW単価 | 合計費用 | 差額 |
標準 | 31万円/kW | 182万円 | |
目標 | 21万円/kW | 122万円 | -60万円 |
- 見積もりを多めにとるのがお勧め
- 電気を多めに使う家庭ではお得度は変わらない
- 最も合計の費用は高くなる
標準の屋根(4.5kW)、瓦屋根

価格水準 | kW単価 | 合計費用 | 差額 |
標準 | 34万円/kW | 153万円 | |
目標 | 24万円/kW | 108万円 | -45万円 |
- 屋根面の枚数、日射量など、他の要素によっては損になる
- シミュレーションが重要になる
- 住宅を20年以上残すことが決まっているならお勧めできる。
小さい屋根(3kW)、瓦屋根

価格水準 | kW単価 | 合計費用 | 差額 |
標準 | 41万円/kW | 123万円 | |
目標 | 32万円/kW | 96万円 | -27万円 |
- 最もkW単価が高い
- 標準価格で得になる可能性はほとんどない
- シミュレーションをして、損ならば入れない判断も
- 環境目的、非常用電源目的としてならお勧め
太陽光発電をお得に始めよう
太陽光発電の設置費用は、どんどんと安くなっています。
その一方で、始めるのを待っていると、屋根の太陽光もどんどん無駄になっています。また、売電価格も低下していきます。
一番の正解策は、設置費用の仕組みを知り、しっかり見極めて、早く始めること。
みなさんもお得な太陽光発電生活を始めましょう!