住宅用太陽光発電の火災について徹底解説【件数・原因・対策】

2019年に消費者庁より注意喚起も出た太陽光発電による火災ですが、その件数や原因を詳しくご存知でしょうか。

この記事では、住宅用太陽光発電設置者が是非知っておきたい、火災の原因や対策などについて解説していきます。

事前に正しい知識を知っておけば、過度に心配する必要がないケースがほとんどですので、是非確認しておきましょう。

太陽光発電による火災はどのくらいの件数で起きているのか

太陽光発電による火災はどのくらいの件数で起きているのか

消費者安全調査員会によると、住宅用太陽光発電システムからの発生した火災、発火、発煙、過熱等の事故は、2008年3月から2017年11月の9年8か月で127件でした。

これは、太陽光発電システムが原因か不明のものや調査中のものも含んでおり、太陽光発電由来とされたものは72件です。

内、太陽光パネルまたはケーブル等から発ししたものが13件、パワーコンディショナーや接続箱から発生したものが59件でした。

一方、太陽光発電協会によると、2017年時点の累計住宅用太陽光発電導入件数は2,377,832件ですので、発生率は約0.005%です。

太陽光発電における火事・火災の主な原因と対策

出火原因

出火の原因は場合によってまちまちですが、以下のようなものが例として挙げられます。

  • 施行業者の不適切な配線処理
  • リスなどの小動物がケーブルをかじったことにより漏電が生じ、溜まっていた落ち葉に着火
  • 津波により配線に付着した海水成分などの影響で絶縁が徐々に劣化し、流れ続けていた電流によって発熱、出火
  • 太陽光パネルの裏側にまとめられた余剰配線がショートしてしまし、それが鳥の巣に引火

住宅用太陽光発電においては発火した火が延焼することをいかに防ぐかということが重要です。

太陽光パネルの設置形態

消費者安全調査委員会より

住宅用太陽光発電のパネル設置形態は上図の4つに分類されており、それぞれによって野地板への延焼リスクは異なります。

なお、各設置割合は、「屋根置き型」と「鋼板等敷設型」で約94.8%、鋼板等付帯型が約0.7%、鋼板等なし型が約4.5%です。

既に太陽光発電を設置済みの方は施工業者に問い合わせればご自宅がどの設置方法か分かります。

「屋根置き型」

屋根材の上に課題を取り付けて太陽光パネルを設置します。

太陽光パネル・ケーブルと防水シート(ルーフティング)の間は屋根材で遮られているため、野地板へ延焼した火災事故等は発生していません。

「鋼板等敷設型」

屋根材に太陽光パネルが組み込まれているものや、屋根の前面に太陽光パネルが設置されているもので、防水シートの表面に、鋼板等の不燃材料を敷設します。

太陽光パネル・ケーブルと防水シートの間は、鋼板により遮られているため、野地板へ延焼した火災事故は発生していません。

「鋼板等付帯型」

裏面に鋼板等の不燃材料を付帯した太陽光パネルを防水シート上に直接設置します。

太陽光パネルと防水シートの間は鋼板等に遮られているため、野地板へ延焼した火災事故は発生していません。

しかし太陽光パネルの下にケーブル等を挟んでしまったことによるケーブルの発火の可能性には注意が必要です。設置済みの場合はケーブルの挟み込みがないかチェックしましょう。

「鋼板等なし型」

裏面に鋼板がない太陽光パネルを防水シート上に設置します。

太陽光パネルとケーブルの間に遮るものがないため、野地板へ延焼してしまう可能性があります。

この場合は「屋根置き型」や「鋼板等敷設型」へ変更するなどの対応を行うことをおススメします。

地絡の検出

地絡とは電気が大地に接触した(電流が流れた)状態のことです。

住宅用太陽光発電は、同一ストリング内の2点地絡が生じた場合、 断路するだけではその発電機能を止めることができないという特性があり、 火災事故等に至る可能性があります。

よって、地絡を早く検知し、断路器による切り離し操作に加えて、同一ストリング内の2点地絡に至る前に、地絡が発生したストリングを遮光する等の適切な処置をすることが必要です。

一部のパワーコンディショナーには地絡検出機能が備わっていないものがあり ます。その場合は地絡検出機能が備わっているパワーコンディショナーに変更することで火災リスクを低減することができます。

定期的なメンテナンスを行いましょう

定期的なメンテナンスを行いましょう

太陽光パネルの寿命は20~30年と比較的長いですが、太陽光パネルの発火が生じたものは使用年数が7年以上であるという特徴がありました。

急にいきなり壊れるのではなく、少しずつ劣化していくものなので、定期的な点検やメンテナンスは非常に重要です。

最低限の頻度としては、設置から1年目に初期不良のチェックを行い、その後は4年に1度とされています。

太陽光パネルやパワーコンディショナーの製品保証が10年になっているケースが多いですので、特に9年目のメンテナンスは漏れなくおこないましょう。

 
メンテナンスなどのランニング費用がどれくらいかかるのか知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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また導入段階で予めこのようなメンテナンス費用も含めたシミュレーションを行うことも大切です。

またメンテナンス費用を無料で行ってくれる販売店もあります。

もし万が一火災が起こってしまったときために【火災保険】

もし万が一火災が起こってしまったときの保険

これまで説明してきたような対策やメンテナンスを行い、発生可能性をかなり下げたとしても、火災のリスクを完全にゼロにすることはできないでしょう。

そこでチェックしておきたいのが保険による補償です。

住宅に取り付けた太陽光発電は、建物の一部、または家財として、住宅用火災保険・住宅総合保険の保証対象になります。

【住宅火災保険】

火災、台風や突風、落雷、爆発、ひょうや雪による災害など

【住宅総合保険】

住宅火災保険の補償対象に加えて、盗難や外部からの落下物、豪雨や洪水による水害等、動産総合保険の補償も対象。

既に火災保険に加入して居る場合は、補償額が足りない場合は、太陽光発電設置に伴い保険料を増額しておくことをおススメします。

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