太陽光発電の1番のメリットとして、「お得」ということが挙げられます。
しかし、本当にお得なのか?ちゃんと儲かるのか?心配な方は多いのではないでしょうか。
特に、太陽光発電を始めようかと悩んでいる人に対して、業者はあの手この手で契約をさせようとします。「一見儲かるように見える太陽光発電」がたくさんあるのも事実です。
今回は、「損した!」「騙された!」という後悔をしたくない人のために、守っておくべき2つのルールをご紹介します。
平均価格で買わない

まず1つ目のルールは、「平均価格で買わない」ということです。
飲食店の評価サイトで平均だったらまあまあいいかな…といつも思ってしまう人は要注意。
太陽光発電は、平均価格だといけません。
その理由と、注目するポイントを見ていきます。
平均価格だと損する可能性が高い
まず一番にあげられる理由は、住宅用太陽光発電は、平均価格だと損をする可能性が高いということです。
これは、環境省のデータにもまとめられていて、住宅用太陽光発電を平均価格で導入すると、過半数の人が損をする結果となっています。
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さらに、太陽光発電は、屋根の大きさや日射量など一人一人状況が異なるので、同じデータを使っても意味がないという特徴があります。
そのため、みんながやっているから。や、平均と同じくらいだからいいか。
が、通用しない世界なのです。
まずは、平均価格だと損をする可能性が高い。この情報は覚えておきましょう。
価格が高いことによるメリットは少ない

「安かろう悪かろう」という言葉はあります。
太陽光発電においても、この言葉はあてはまるかもしれません。
しかし、「高かろう良かろう」これが存在しないのが太陽光発電です。
その理由はなぜでしょうか。
一番重要な日射量は、価格と全く関係ない

一番の理由は、屋根に降り注ぐ日射量は、費用と全く関係がないということです。
太陽光発電は太陽のエネルギーを使うので、一番上がってほしいポイントは、日射量です。
たとえ費用が2倍になっても、日射量が4倍になるならそちらのほうがお得かもしれません。
しかし、どれだけ高い費用をかけても、どれだけ安い費用でやっても、あなたの屋根に降る太陽光の量は変わりません。
高いお金を払えば日射量が上がったりしてくれればいいですが、そんなことはないため、太陽光発電で発電できる電気の上限は決まっています。
変換効率の差はあまり大きくない
値段が高いけれど、太陽光発電の変換効率がそれ以上に高く、より発電できる場合は、もちろんそちらのほうが良いでしょう。
ただし、現時点での太陽光発電の値段は、「パネルの性能の差」ではなく、営業費や人件費などの値段の差のほうが大きくなっています。
たとえば、一般的なパネルの変換効率を、業界最高水準とされる変換効率のものと比べてみましょう。

上記のグラフは、一般的な太陽光パネルと東芝の太陽光パネルとの変換効率の比較になります。
業界1位と銘打ってある変換効率が22.1%ですので、一般的な単結晶の太陽光パネルの変換効率の最高値19%に比べて約10%強高くなっています。
もちろん、変換効率が数%でもあがれば嬉しいのですが、大事なのはコストパフォーマンスです。
10%変換効率が上がった場合、許容できる金額の増加幅は10%までです。
東芝のパネルを悪くいうわけではありませんし、環境面などを考えるとこのような技術革新は非常に大切だとは思います。
ただし、賢い消費者となるためには、何を比較して、その許容する金額はなにかを常に頭に入れましょう。
消費者にとって変換効率は意味がない
「変換効率」という言葉の響きに、勘違いしている方は多いのではないでしょうか。
たとえば、Aさんの家に5kWの太陽光発電を取り付けることにしたとしましょう。
その場合、発電効率が20%の太陽パネルと、発電効率が10%の太陽光パネル、どちらをのせればより発電できるでしょうか?
答えは、「発電量は同じ」です。
発電効率とは、広さに対する発電容量を表す言葉であり、同じ発電容量だった場合の発電量を表す言葉ではありません。
そのため、結局は、「屋根にどれだけの容量のパネルが置けるか」が一番重要です。
そのため、「パネル一枚」などの価格で選ぶのではなく、「自分の家全体のシステム」としての値段でみるべきなのです。
その意味でも、やはり「高かろう、よかろう」はないことがわかります。
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太陽光発電の最終的な目的は、発電をすること
太陽光発電の価値は、ずばり発電をすることです。
たとえば、服であれば、ブランドが重要になったり、触り心地が重要になったりするかもしれません。
しかし、太陽光発電が生み出してくれるものは、電気だけですので、この電気のみで比較する必要があります。
もちろん、見た目などを重要視する方もいますが、今時点ですと、一般的な太陽光発電の見た目はほとんど同じです。
発電量を出すための情報として、先ほどの「変換効率」や「結晶構造」「最大出力」などがありますが、結局は、住宅の屋根でどれだけ発電できたのか?そして、それにどれだけお金がかかるのか?で考えなければなりません。
太陽光パネルなどの特徴を長々と説明されることもあるかもしれません。しかし、行きつく先は、「発電量」です。
どれだけ格好よさそうな言葉を使われても、「結局発電量はいくらなの?」が変わらなければ、それにお金を払う意味は少ないでしょう。
初期費用を下げるポイント

今までの話では、「ルール1:平均価格で買ってはいけない」その理由を説明しました。
価格を上げても日射量は増えませんし、国のデータもあるように、損をする人が多いのは事実でしょう。
そもそも、発電量が変わらないのであれば、よりお得になるぶん初期費用は下げるべきですよね。
続いては、どうやって初期費用を下げるのか?その方法とをご説明します。
そしてもちろん、皆さんが心配する「安かろう悪かろう」に当たらないための方法もご紹介します。
価格の仕組みを知ろう

初期費用を心配することなく下げるには、価格の仕組みを知ることが重要です。
上のグラフは、住宅用太陽光発電のシステム費用の平均的な内訳になります。
さんざん平均価格ではだめだと言いましたが、全体の傾向をつかむうえでは重要です。
試しに、5kWの太陽光発電の価格の内訳をみてみましょう。
内容 | 価格 | 原材料費 |
合計 | 153万円 | ?? |
パネル | 97.5万円 | ?? |
パワコン | 22.5万円 | ?? |
架台・その他 | 13万円 | ?? |
工事 | 32.5万円 | ?? |
合計金額は、153万円とでています。(もちろん、この平均価格で導入することはお勧めしません)
そのうち、パネルが大部分をしめて、残りを工事費やパワコン台が占める形となっています。
そのため、それぞれの部門について、この価格からあまりにも安い場合は要注意となります。
ただし、一つ気を付けるポイントがあります。
それは、これらの費用には、営業費や人件費がのっているということ。
原材料費が安いのに、無駄な営業をしているから最終的な値段が高くなっている場合もありますし、いいものにも関わらず、努力によって安く抑えている場合もあります。
これを判断する基準は、パネルなら発電効率、工事なら施工実績といったところでしょうか。
もう一つの判断基準は、価格の仕組みを質問してみるということです。
そして、しっかり答えられない業者は、バツを付ける。結局は人としての信頼感がないところは、「悪かろう安かろう」になりがちですので、簡単な方法かもしれません。
比較しよう
これはもちろんですね。
しっかり様々な業者を比較することが最も重要です。
その中で安いものに目星をつけつつ、なぜ他の業者よりも安いのかや、先ほどのシステム内訳を参考に、妥当な金額なのか吟味しましょう。
ネットなどで直接探そう

太陽光発電の業界の特徴として、中間業者がとても多いことが挙げられます。
メーカーから、一次商社、二次商社、一次販売店、二次販売店…。
中間業者が多いことのデメリットは、もちろんその分中間マージンがとられてしまうということです。
さらに、先ほどの話と違い、中間業者がいるかいないかでは、売っているものはほとんど変わらないのにも関わらずです。
たとえば、比較する際に使える一括見積サイトは便利ですが、それも一種の中間業者です。
利用者としては無料なため、そのようなフォームを使うことはもちろんお勧めですが、もしかすると直接探し当ててあげたほうが、交渉などはしやすいかもしれません。
無駄な偏見を捨てよう
初期費用を下げる最後のポイントは、「偏見を捨てること」です。
実は、世界の太陽光発電の価格は、日本よりもはるかに安い価格になっています。

非住宅用のデータですが、日本とヨーロッパを比べてみると、ヨーロッパが2年早い時期にもかかわらず、日本の費用を40%ほど下回っています。
ヨーロッパが2016年の時にはさらに値下がりしているでしょうから、差はもっと大きいものと考えられます。
なぜ、海外と日本でこんなにも太陽光発電の価格が違うのでしょうか?
もちろん、経済や、国の政策状況、様々な理由はあると思います。
しかし、日本人が「高いものはいい」「太陽光発電なんて大それたものは、高いくないとむしろおかしい」など考えているのも大きい理由ではないでしょうか。
今後は、太陽光発電が「当たり前」のものになり、衣服のユニクロのように、消費者が簡単に「安かろう良かろう」を判断できるときが来るかもしれません。
しかし、現時点でにおいても、偏見をすてれば、そのような考え方ができるはずです。
海外は日本よりはるかに安い。その事実を踏まえたうえで、選んでみるといいかもしれません。
都合のいいシミュレーションに騙されない

続いての損しないルールは、都合のいいシミュレーションにだまされないということです。
太陽光発電の販売業者の中には、売る目的のために、「できるだけ費用を少なく」「できるだけお得に」見せようとしてきます。

上の図を見てください。
みんなの太陽光発電のシミュレーションにおいて、普段の設定での結果と、サイトSで行われている「都合のいいデータ」を利用した場合の結果を比較したものです。
ちなみに、これは、「維持費用」「電気代年間変動率」という2つのデータしか動かしていません。
初期費用や発電量はそのままにもかかわらず、80万円もの違いが出てしまっています。
このように、都合よく見せるシミュレーションを信頼してしまったばかりに、実際は損なのに契約してしまった。
となることはよくあります。
後で後悔しないために、チェックすべき重要ポイントを5つ説明します。
kW単価の条件をチェック
太陽光発電の費用の考え方にkW単価というものがありますが、これが安いからといってあなたの家に太陽光発電を入れるときの値段が安いかはわかりません。
その値段には、条件があるからです。
たとえば「7kW導入した場合」「二階建てでスレート屋根の場合」などです。
もちろん実際の費用は、現地調査をして正確な見積もりがでることになるかもしれませんが、
「集客のために、ありえなさそうな条件で安く提示している」
業者もよくあります。
ついつい安そうな表示があったから問い合わせたが、本当の価格はもっと高くなり、押し切られて結局それで契約することになってしまった。
とならないようにしましょう。
維持費用が入っていない

ここからは、特に重要な3項目です。
まずは、維持費用が入っていないシミュレーションを見せてくる業者です。
太陽光発電は、パネルの寿命が25~30年といわれていますので、その間にはメンテナンスや機材の交換が必要になります。
経済産業省の最新の情報によると、以下のような維持費用が示されています。
3 ~4年ごとに1回程度の定期点検が推奨されており・・・定期点検費用は 2.9 万円程度・・・パワコンについては、20 年間で一度は交換され、20.0 万円程度が一般的・・・
令和2年度の調達価格等に関する意見
その結果、最終的な維持費用としては、5kWの場合ですと
年間 1.7万円、20年間で34万円にもなります。
太陽光発電のソーラーパネルは、寿命が20~30年もあります。そのため、一度屋根に設置したからといって、そのままにしていいものでもありません。「太陽光発電の設置費用の相場と安くする方法」がわかった次は、定期点検、パネルのメンテナンス[…]
太陽光発電の維持費用は、必須の費用です。
シミュレーションでは必ず入れるようにしましょう。
発電量を多めに見積もっている
発電量の見積もりは、日本の産業規格で規定されています。
そのため、そこまで違いが出ることはないはずですが、以下のような場合には注意が必要です。
- 発電量を計算する元となる地域を、実際に家がある地域と異なる場所にしている
- 規格の方法で計算していない
- 規格の方法をある程度は使っているが、簡易的な方法など不確実性の高い計算をしている
- 太陽光パネルを北面につけるなど、太陽光パネルの量をそもそも多く出している
発電量は、どの業者であっても、同じ家であればほとんど変わらない結果になります。
この記事は、「【連載企画】太陽光発電が得か損か、シミュレーション開発者が全て解説します」の一部です。今回は、太陽光発電の最も重要なポイントである、発電量に関する記事になります。太陽光発電の発電量に関しての記事はたくさんあります[…]
「価格の比較」をするように、「発電量の比較」をして、過大に算出していないか確認するようにしましょう。
電気の価値を過大評価している

最重要項目になります。
実は、業者が一番都合よく変えられる項目が、電気の価値です。
費用が100万円だった場合に、実際に発電できる価値が100万円、つまり、合計でみるとお得ではなかった場合があるとします。
しかし、
発電した価値を200万円にみせるのは、比較的簡単です。
いったいどのようにしているのでしょうか?
ポイントとなるのは、「節電価格」や「売電価格」です。
たとえば、都合のいいシミュレーションは、以下のように考えます。
- 電気代がここ数年値上がり傾向です。(事実)
- なので、今後も電気代が上がりつつけるとしましょう。(仮定)
- 年間で3%ずつ増加するとします(仮定)
未来のことに対して、都合のいい仮定をおくのです。では、最後の仮定が次の場合の2つを比較してみましょう。
- 電気代が、年間で3%ずつ増加するとします
- 電気代が、今と変わらない金額だとします

すると、費用が150万円、初年度の発電量が10万円分、以降も発電量が同じだったしましょう。
けれど、電気の価値を数%かえるだけで、結果は大きく変わります。
20年後には、それぞれの仮定において次の利益になりました
- 年間3%ずつ増加:利益が119万円
- 年間変動なし:利益が50万円
このように、利益額を大きく見せるのは比較的簡単なことがわかっていただけましたでしょうか。
このような計算をした場合、その仮定どおりにならないと後悔する結果となります。
さらに、今のは電気代という、日本人全員が同じ結果となりやすいものですが、一人一人で異なるものも存在します。
そのため、どのような仮定をおき、どのような価値の決め方をするのか、一人一人に合わせて行う必要があるのです。
電気の価値の過大評価にだまされないためには、まず計算方法を教えてもらう必要があります。
シミュレーションにおいて、結果だけ表示して、どのように計算しているかを見せてこない場合は、都合のよい計算方法をしている可能性が高いです。
シミュレーションを説明できない

いま見ていただいたように、シミュレーションには様々なポイントがあり、それを少しいじるだけで、値が変わってしまいます。
しかし、業者の中には、わざと大きく見せるのではなく、そもそも大きく見せていることすら認識していない業者がたくさん存在します。
自分たちで計算していないので、このような差が発生することすら認識していないのです。
そのため、まずは、「どうやって計算していますか?」だったり、「どれくらい差が発生する可能性がありますか?」といったことを質問してみることをお勧めします。
このように、説明すらできないシミュレーションですと、ほとんど後悔する結果となってしまいます。
損しないためにも、信頼できるシミュレーションをしてみましょう。
まとめ
太陽光発電は、2つのルールさえ守れば、とてもお得です。
ただし、「平均価格で購入」したり「都合のいいシミュレーション」をすると、たちまち損をする可能性が増えてしまいます。
これらを回避するためには、
- 価格の仕組みを知る
- 比較をする
- 偏見を捨てる
- シミュレーションの計算方法を聞いてみる
- いろいろなシミュレーションをしてみる
- 自分にあったシミュレーションの値に調整する
などがおすすめです。
長々となりましたが、太陽光発電で損した!をなくすためにも、2つのルールをしっかり守りましょう。
みんなの太陽光発電なら、平均価格より圧倒的安く、そして20個以上の項目を設定できるシミュレーションが可能です。
ぜひ一度試してみて下さい。