ハイブリッド、オフグリッド、オングリッド|太陽光発電の3つのタイプ

太陽光発電について調べていると、「オフグリッド」「オングリッド」「ハイブリッド」のような言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

太陽光発電は、発電などの原理は同じですが、「どのように使用するか」によって、3つのシステムにわけることができます。

そして、どのシステムかによって、必要となる機器や機器の機能も変わってきます。

この記事では、太陽光発電の3つのシステムである「オフグリッド」「オングリッド」「ハイブリッド」をご紹介します。

太陽光発電システムには3つのタイプがある

太陽光発電の仕組みや原理は、全て同じです。

  1. 太陽光パネルが、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する
  2. 変換された電気エネルギーは、直流の電気として流れる
  3. 蓄電池がある場合は、電気を保存する
  4. パワーコンディショナーで交流の電気に変換する
  5. 普段の電気と同じように利用するか、売電する

ただし、利用する状況によって、3つのタイプに分けることができます。

  • 単独型
  • 系統連携型
  • ハイブリッド型

英語の場合は、それぞれ「Off-Grid (オフグリッド)」「On-Grid (オングリッド)」「Hybrid (ハイブリッド) 」と呼ばれます。こちらの名称のほうが有名かもしれません。

ちなみに、日本でよくある太陽光発電は、「系統連携型(オングリッド)」になります。

それでは、太陽光発電の3つのタイプのシステムについて、具体的に見ていきましょう。

単独型(オフグリッドシステム)

オフグリッド
  • 電線と連携しない
  • 売電はできない
  • 電線がないような場所でも発電できる
  • 蓄電池と組み合わせて使う

まずは、最も基本となるオフグリッドシステムから説明します。

オフグリッドシステムでは、「太陽光発電システムだけで」発電や消費を行います。言い換えれば、「電線などから電気を受け取ることなく」生活をします。

日本で導入されるほとんどの太陽光発電は、電線などとつながっています。そのため、このオフグリッドシステムではありません。

オフグリッドシステムの身近な例は、まず一つ目がキャンピングカーに乗せる太陽光発電システムなどでしょう。

あまり発電はできませんが、車で移動した場所で自由に発電して、自由に電気を使うことができます。使うときには、電線とつないだりはしていません。

もう一つオフグリッドシステムが活用される場面は、電線がもともと通っていないような場所で電気を使いたいときです。具体的な例を挙げると、無人島に別荘を建てるときです。

電気が通っていない無人島でも、単独型(オフグリッド)の太陽光発電システムを導入すれば、電気を利用して生活することができます。

普通は、単独型(オフグリッド)の太陽光発電というと、後者のように住宅など生活はそのままで利用する場面を想定します。

オフグリッドでは電線とつながっていないため、発電した電気は全て自家消費することが前提です。また、使う電気は全て太陽光発電で発電しなければなりません。

しかし、太陽光発電システムは、基本的には昼にしか発電をしません。そのため、オフグリッドシステムで夜に電気を利用する場合には、蓄電池が必須になります。

さらに、日常で利用する電力を全て賄わなければならないため、蓄電池にはある程度の容量が求められます。

また、パワーコンディショナーも、「オフグリッド用」のものにする必要があります。これら蓄電池とパワコンの費用は、他のシステムに比べて高くなりがちです。

しかし、無人島まで電線をつなぐことを考えたら、オフグリッド太陽光発電にしたほうがコストが安くなる可能性があります。

また、今はFIT制度により「売電」が基本のため、太陽光発電システムと電線をつなぐのが基本です。しかし、FIT制度が終了するころには、電線とつなぐ必要は必ずしもありません。

そのようなときに増える可能性があるのが、この「独立型(オフグリッド)」です。

系統連携型(オングリッドシステム)

オングリッド
  • 電線と連携する
  • 売電ができるようになる
  • 停電時は逆流しないように動きを止める

日本の太陽光発電システムは、ほとんどがこのタイプです。

「系統」とは、電線などユーティリティ電源を表します。私たちが普段「買っている電気」が流れているものです。

この系統と連携をすることで、さきほどのオフグリッドシステムのように蓄電池が必須となることはありません。太陽光発電が発電しない間は、電気を買って生活することができます。

また、系統と連携することで、太陽光発電で作った電気の「売電」も可能になります。FIT制度での売電やFIT後の自由買取では、電線を通じて電力会社に電気を売ることになります。

逆に、太陽光発電で作った電気を売るためには、この系統連系(オングリッド)が必須ということです。

系統連系のリスク

ただし、「系統と連携をしている」ということは、とても気を付けることでもあります。

例えば、停電してしまったときは、この「系統」に電気が流れていない状況を表します。太陽光発電システムで発電した電気がそのような状況で系統に流されると、系統そのものが悪影響をうけます。

電線など系統は、ほとんどの人々の役に立っているものです。一人が系統に対して悪影響を及ぼすと、とても多くの人に障害が発生します。

そのため、停電時には、オングリッドタイプの太陽光発電は自動的に運転を止めることがほとんどです。そうすることで、電線への電気の逆流を防ぐことができます。

この機能は、系統連系用のパワーコンディショナーに備わっています。多くの日本のパワーコンディショナーでは「連係保護機能」として記載されているはずです。特にその中でも、「単独運転防止機能」などが当てはまります。

逆に言えば、この機能をもったパワーコンディショナーでないと、オングリッドシステムでは利用ができません。

系統連携のための仕組み

系統連系のためには、さきほどのオフグリッドシステムと比較して、追加的に機器が必要になります。

まずは、「メーター」や「計量ユニット」です。

太陽光発電でつくった電力を売電するにしても、電気が足りない時に買電するにしても、その電気の量をしっかり把握しておく必要があります。そのための機器がメーターや計量ユニットです。

また、この軽量ユニットの機能により、モニターに発電量・売電量などを表示させることが可能になります。

オフグリッドシステムではいらないものですが、オングリッドシステムの場合は必須となります。

ハイブリッド型

握手
  • 2つのタイプのいいとこどり
  • 停電時も使える「系統連系タイプ」とも呼べる
  • 売電もできる「単独タイプ」とも呼べる

ハイブリッド型は、それぞれのいいところを合わせた太陽光発電と呼べるでしょう。

さきほどの単独型(オフグリッド)では、自分1人で発電も使用もできますが、電線とつながっていないため発電量が足りない時には電気を利用することができませんでした。

対して系統連系型(オングリッド)は、電気を売ったり買ったり自由にできますが、そのかわり停電時には電気の利用ができませんでした。

「いつでも売電・買電ができる」「停電時も電気が使える」この2つを掛け合わせたものがハイブリッド型になります。

「停電時も使える」ことを前提とするため、基本的には太陽光発電システムと蓄電池をセットで揃えます。そのうえで、電線とも繋げます。

そうすることで、昼に発電して余った電気は、蓄電池にためておき、夜に電気を使うときには「蓄電池から+電線から」の2つを利用することができます。

オフグリッドの場合だと、蓄電池の容量が大きくないといけない問題点がありましたが、電線ともつながっていることで、足りない分は買えばいいという判断が可能になります。

もしくは、夜間の安い電力を購入し蓄電池にためておくことで、その他の時間に利用することもできます。

ただし、「いいとこどりをする」ためには、それぞれに必要な機材を全て同じくそろえる必要があります。たとえば、軽量ユニットと蓄電池の両方が必要です。

さらに、パワーコンディショナーに関しては、ハイブリッド対応のものが求められます。

最も機能は豊富ですが、その分コストがかかってしまうシステムといえるでしょう。

「系統連系型」以上「ハイブリッド型」以下のものが、パワーコンディショナーの「自立運転機能」といえるでしょう。自立運転機能では、停電時でも電気を利用することができます。しかし、通常と同じようにコンセントから電気を利用することはできません。また、使える電力も制限されます。

特に蓄電池を導入する場合は注意

蓄電池を入れたいと思う人は、「ハイブリッド型」の太陽光発電を希望していることになります。

そのため、ハイブリッド型の太陽光発電システムに必要な機器の導入が必要です。

特に注意したいのが、FITが終わった後に蓄電池を導入しようとしている人です。その人たちは、「系統連系型(オフグリッド)」から「ハイブリッド型」に移行しようとしていることになります。

もしも「パワーコンディショナー」がハイブリッド型でない場合には、蓄電池を単独で導入することはできません。

蓄電池用のパワコンをもう一台用意するか、今あるパワコンをハイブリッド型のものに交換しなければなりません。

パワコンの寿命は15~20年ほどとされていますので、FITが終わった10年で変えるのは、少しもったいないとも言えます。

蓄電池を検討する際には、このような追加的な費用がさらに掛かってしまう可能性があることは念頭に置いておきましょう。

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