東京電力エナジーパートナーのプランは3つ
FIT期間が終了した方向けの東京電力の売電・買取プランには、3つの種類があります。
- 再エネ買取標準プラン
- 再エネお預かりプラン
- エネカリ
再エネ買取標準プランは、今までと同じように、余剰電力の売電をし、東京電力からお金をもらうプランです。なにもしなければ、このプランが選択されます。
再エネお預かりプランは、余剰電力を東京電力に預けておき、その分を夜に使うプランです。
最後のエネカリは、東京電力エナジーパートナー社のサービスになります。蓄電池などをリースして自家消費を増やすプランです。
それぞれの特徴と申込方法、どれを選べばいいのかを解説します。
再エネ買取標準プラン

今まで通りの余剰売電
「再エネ買取標準プラン」という名前ですが、今までと何も変わりません。いわゆる余剰買取制度です。
太陽光発電で発電した電気のうち、自家消費をしないで余った電気を東京電力が買い取ってくれます。
FITとは関係のない制度なので、金額や契約内容は東京電力が決めたものになります。
売電価格は8.5円/kWh
東京電力の自由契約の売電・買取価格は、2020年5月18日現在において8.50円/kwhです。この金額には消費税相当額(10%)を含んでいます。
FITの価格に比べると、半額以下になってしまいますが、しっかりと買取はしてもらえます。
他の電力会社との比較

現在、FIT期間終了後の買取価格は、おおよそ8~12円/kWhほどとなっています。
東京電力の買取価格は、日本の中だと低い部類です。
たとえば、東京電力エリアの他の販売先では、条件なしでも以下のような買取価格で買い取ってくれるところがあります。
事業者 | 買取価格 |
丸紅ソーラートレーディング SHARPプラン | 11.0円/kWh |
JXTGエネルギー ENEOS太陽光買取サービス | 11.0円/kWh |
SMART TECH スマートFIT | 11.5円/kWh |
発電量を5,000kWh、自家消費率を30%とすると、東京電力と比較して1年間で約2.1万円の差がでることになります。
もしも売電先にこだわりがないのであれば、これらの販売先に変更してみるのもいいでしょう。
買取条件
項目 | 内容 |
契約期間 | ・年度ごとに1年契約 ・そのあとは自動更新 |
対象エリア | ・東京都 ・神奈川県 ・埼玉県 ・茨城県 ・群馬県 ・栃木県 ・山梨県 ・静岡県 |
契約は1年の期間で自動更新になっていることに注意する必要があります。
買取価格が低くなることもあり得ますが、気づかずにそのままにしてしまい、思ったより金額が低くなる可能性があります。
ただし、どの売電先でも、1年契約かつ自動更新になっていると思います。そのため、売電額を最も多くするのなら、毎年売電額を調査して変更する必要があります。
申込方法
東京電力エナジーパートナーへの売電の申込方法は、現在の売電先がどこであるかによって異なります。
現在の売電先を確認するには、次の2通りの方法があります
- 電力受給契約申込書
- 買取期間満了のお知らせ通知(FIT買取期間終了の数か月前)
これらの資料をみれば、現在の売電先が確認できるはずです。
もしも現在の売電先が東京電力エナジーパートナーの場合は、なにも手続きをする必要はありません。
現在の売電先が東京電力エナジーパートナーが以外で、売電先を変更したい場合のみ、申し込みが必要です。
現在の売電先 | 希望する売電先 | 手続き |
東京電力 | 東京電力 | 必要なし |
東京電力以外 | 東京電力 | 電話申込 |
再エネお預かりプラン

発電した電気を東京電力に預けておく
余った電気を売るのではなく、いったん東京電力に預けておいて、夜間などに使用するのがこのプランです。
イメージとしては、蓄電池を東京電力が用意してくれ、その蓄電池を使って自家消費を増やす方法です。
ただし、余剰電力についての非化石価値は東京電力のものになるなど、蓄電池を使った純粋な蓄電とは違いがあります。
電気の使用量が多い家庭向けのプラン
このプランの特徴は、このプランを選ぶこと自体にお金がかかることです。毎月4,000円の手数料がかかります。
この手数料は、東京電力が用意してくれている蓄電池にお金を払っていると考えればよいでしょう。
売電をするだけならお金がもらえるので、逆にお金を払うのはかなり不利なスタートになります。
この不利な分を回収できるのか、3つのパターンで見てみましょう。
平均的な戸建て住宅
- 計算条件
- ・電気の使用量(自家消費込み):400kWh/月
・電気の使用量(買電分):274kWh/月
・アンペア数:40A
・発電量:420kWh/月
・自家消費率:30%
・スタンダードSプラン
再エネお預かり | 買取標準 | |
手数料 | -4000円 | 0円 |
売電金額 | 5,847円 | 2,499円 |
合計 | 1,847円 | 2,499円 |
電気の使用量が1.2倍
- 計算条件
- ・電気の使用量(自家消費込み):471kWh/月
・電気の使用量(買電分):345kWh/月
・アンペア数:40A
・発電量:420kWh/月
・自家消費率:30%
・スタンダードSプラン
再エネお預かり | 買取標準 | |
手数料 | -4000円 | 0円 |
売電金額 | 6,499円 | 2,499円 |
合計 | 2,499円 | 2,499円 |
電気の使用量が多くなると、再エネお預かりプランと再エネ買取標準プランの差がなくなります。
ただし、月ごとに電気の使用量は異なるため、この程度であれば通常の売電のほうがいいのではないでしょうか、
電気の使用量が1.5倍
- 計算条件
- ・電気の使用量(自家消費込み):600kWh/月
・電気の使用量(買電分):432kWh/月
・アンペア数:40A
・発電量:420kWh/月
・自家消費率:40%
・スタンダードSプラン
再エネお預かり | 買取標準 | |
手数料 | -4000円 | 0円 |
売電金額 | 6,664円 | 2,142円 |
合計 | 2,664円 | 2,142円 |
今度は、再エネお預かりプランのほうが500円ほどお得になりました。
このような結果から、電気の使用量が多いご家庭で有利になる可能性があります。
ただし、他の条件によっては、この限りではありません。
東京電力では、「再エネお預かりプラン」「再エネ買取標準プラン」の料金シミュレーションを実施していますので、気になる方は、試してみるのがよいでしょう。
プランの条件
このプランには、加入する条件があります。念のため押さえておきましょう。
- 電気料金をクレジットカードで支払うこと
- 特定の電気料金プランへ加入すること
- 時間帯別電灯(夜間8時間型 / 夜間10時間型)
- 季節別時間帯別電灯
- スタンダードS / L
- スマートライフS / L
- スマートライフプラン
電気料金プランによって、どの程度メリットがあるかも異なります。複雑な条件となりますので、上級者向きでしょう。
申込方法
インターネットから申し込みが可能です。
ただし、まずは売電の申込が必要です。東京電力と契約していない方は、再エネ買取標準プランの申し込みを先に済ませましょう。
すでに東京電力エナジーパートナーの契約情報をお持ちの方は、ページよりすぐにお申し込みができます。
エネカリ

蓄電池のリースサービス
エネカリは、売電をするのではなく、自家消費を増やすことを目的としたプランです。
特徴は、そのための機械を購入するのではなく「借りる」こと。初期費用がかからないことでしょう。
ただし、初期費用はかかりませんが、毎月のリース料金を支払わなくてはなりません。
災害対策・環境価値のためのプラン
FIT期間が終わり、売電価格が下がったから他の選択肢を探している人にとって、このプランは悪手です。
自家消費率は増えますが、金銭的には損になってしまいます。
このプランがお勧めな人は、あくまで「災害対策や環境価値のために」蓄電池が欲しい人。そのような方にとっては、検討する価値があるでしょう。
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申込方法
電話、もしくはお問い合わせフォームから申し込みが可能です。
申込方法 | 申込先 |
電話 | 0120-948-356 |
メールフォーム | https://www.tepco-ht.co.jp/fit/contact.html |
まとめ:選ぶべきプラン
東京電力地域にて、FITの買取期間が終了した方向けのプランをまとめました。
順位 | プラン | コメント |
1 | 他社買取プラン | ・11円/kWhも可能 ・申込必要 |
2 | 再エネ買取標準プラン | ・8.5円/kWh ・申込の手間がない場合も |
3 | 再エネお預かりプラン | ・電気をたくさん使う人 |
4 | エネカリ | ・災害対策に興味のある人 ・お金を払ってもいい人 |
やはり、余剰電力の基本は「売電」です。電気を無理にためたりするよりは、売れるところに売ってしまったほうが結局はお得です。
さらに、仕組みも簡単なため、切り替えるのも容易です。
もしもあなたが買取期間が終了して困っているのであれば、1つだけルールをお教えします。それは、
「電気を売るために何かを買ったり借りたりしない」
あと10年もすれば、蓄電池をかってもお得になる日が来るかもしれません。しかし、今の段階では、余計なことをせずに電気を売ってしまったほうが良いでしょう。
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