太陽光発電の蓄電池メリット・デメリット大全【今本当に必要ですか?】

  • 2020年4月12日
  • 2022年10月21日
  • 蓄電池

太陽光発電の導入と共に検討されることが多い「蓄電池」ですが、そもそもなぜ必要なのか、どのような種類があるのかを詳しく調べたうえで購入を決めた方はどれくらいいるでしょうか。

中には、「訪問販売で言われるがままに500万円以上….。」なんて方も多いのが現状です。

この記事では、蓄電池の購入を検討されている方、営業員に勧められて導入を迷っている方に向けて、蓄電池のメリット・デメリットを解説していきます。

ちなみに結論は、「災害対策として数十万円払う価値があるか」にいきつきます。間違っても、蓄電池をいれることでお得になることはありえません。

そもそも、「蓄電池」とは

蓄電池

蓄電池とは、簡単にいえば「発電した電気を貯めておき、必要な時にその電気をつかうことができるもの」です。

「二次電池」や「バッテリー」と言ったりもします。

一般的に電池というと乾電池(一次電池)のようなものイメージする方も多いですが、蓄電池は充電することによって何度も繰り返し利用できます。

蓄電池を付けない場合の太陽光発電では、電気を創ることはもちろんできますが、それを貯めておくことはできません。

太陽光で発電した電気を太陽が出ていない夜間などに使用する場合には蓄電池が必要になります。

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蓄電池

あらかじめ知っておきたい【全負荷】と【特定負荷】

一口に蓄電池といっても、「全負荷」と「特定負荷」の2つのタイプがあります。

タイプ説明
全負荷家のどの場所やコンセントでも蓄電池で貯めた電気を使用できる
特定負荷特定の場所・コンセントのみ蓄電池で貯めた電気を使用できる

蓄電池で家庭で使用する電気をすべてカバーするには、「全負荷」の蓄電池システムが必要です。特定負荷では期待するまでの効果が得られない可能性があります。

しかし、全負荷と特定負荷では価格がかなり違うため、蓄電池をそもそも導入するのか、蓄電池を導入するとして全負荷なのか特定負荷なのかといった判断が必要になります。

蓄電池のメリット

電球

停電時にも電気が利用できる

蓄電池があれば、予め太陽光発電で貯めておいた電気を停電時に使用することができます。

蓄電池を導入する最も大きいメリットでしょう。

特に台風や地震などの災害が多い日本では、大規模・長期的な停電が起こることも想定されます。

東日本大震災や2019年9月の台風15号では、実際にそのような被害が起こっており、蓄電池のおかげで助かったという方もたくさんいます。

上の図は、各国の停電時間を示しています。

日本は、普段はほとんど停電になることがありません。1年間でも30分停電になるかどうかでしょう。しかし、見ていただくとわかる通り、2011年には大きく増加しています。

このような「なにかあったとき」のために役に立つのが蓄電池です。

蓄電容量の目安

実際の停電時にどれくらいの電気が使えるのかは蓄電池の容量(電気を貯められる量)によって異なり、「kWh(キロワットアワー)」で表されます。

一般的に容量が大きくなるにつれて価格も大きくなるのでるので、各家庭の必要な電気量を想定しておくことも重要です。

とはいえ、どの程度の容量が必要か判断に迷う方もいらっしゃるでしょう。

そんな時は毎月の電気代の明細を見て、一日当たりの生活に必要な電気量を計算してみましょう。

例えば、1か月に1万円の電気代を支払っている家庭の場合、毎日約12kWhほどの電気を使用していますので、12kWhの蓄電池を導入すれば、丸1日の電気をカバーすることができる計算になります。

蓄電池がなくても停電時に少しの電気が使える「自立運転機能」

太陽光発電を導入しても停電時には全く電気を使用することができないと思われている方もいますが、実は違います。

パワーコンディショナーに「自立運転機能」がついていれば、停電時であっても太陽光で発電した電気を使用することができます。

パワーコンディショナーとは、太陽光で発電した電力を直流から交流に変換することで、普段私たちが利用できる電気に変えてくれる装置のことです。

日本の住宅用として用いられるパワーコンディショナーには自立運転機能は備わっているケースが多いですが、一部この自立運転機能がないものもありますので、重要視する方はチェックしておきましょう。

また、以下のような注意点もあります。

①停電時に自立運転で同時に使用できる電力の上限はほとんどが1,500Wまで!

 ✓ 電子レンジ:1,000~1,400W

 ✓ 冷蔵庫:150~500W

 ✓ テレビ:300~500W

 ✓ 携帯充電:15W

②太陽の出ている時間しか使うことができない

 自立運転機能は電気を貯める機能ではなく、停電時に発電した電気を使用できるようにする機能ですので、当然太陽が出ている時間しか利用できません。

停電&夜間にも対応したい場合はやはり蓄電池が必要になります。

③自立運転機能を利用するにはきちんと手順を踏む必要がある

 自立運転機能は停電になったら自動的になるものではなく、自身で自立運転モードに切り替える必要があります。

自立運転用コンセント→ブレーカーを切る→自立運転モードに切り替えるといった手順が必要になります。

停電が起こってからではあたふたしますので、太陽光発電設置後には必ず確認しておきましょう。

より多くの電気を自家消費することができる

蓄電池を導入した場合、余った電力を売電せずに蓄電し、家庭でその電力を使用するので、その分自家消費の割合を高めることができます。

蓄電池による自家消費率の増加は、およそ25~50%ほどです。容量によっても異なりますが、それだけ自家消費率を上げることが可能です。

ちなみに、「蓄電池なしでも自家消費を増やす方法」ももちろんあります。蓄電池を導入する前に、他の選択肢もチェックしておくといいでしょう。

ただし気を付けたいのは「自家消費率」を上げること自体が目的なのか?ということです。自家消費を上げることで「お得にしたい」「環境に良くしたい」そのあとのことこそが目的でしょう。

そのことを考えると、一概に自家消費率を上げることにもメリットデメリットがありますので注意が必要です。

自家消費の増加による節電額はどのくらい?

蓄電池により自家消費率があがると、もちろん節電額は増えることになります。また逆に、売電額は減ることになります。

2020年の固定価格買取制度(FIT)による売電価格は「21円/kWh」に決定しました。この価格は、電力の購入価格(基本料金+電気料金+再エネ賦課金)よりも小さくなるケースがほとんどです。

さらに、10年の固定価格買取制度(FIT)終了後の各社の買取価格は平均8~12円/kWhほどですので、その効果はさらに高まります。

ただし、計算するとわかるのですが、FIT期間における「蓄電池による電気代削減効果」はほとんどありません。また、FIT後の電気代削減効果は、およそ年間2.5万円~6万円となります。

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蓄電池のデメリット

デメリット

初期費用の負担がかなり大きい

蓄電池の最大のデメリットは、費用が高いことです。

蓄電池の機能自体は素晴らしいのですが、この費用が原因で蓄電池の導入を断念する方が多いのが現状です。

本体価格の相場は特定負荷・一般家庭用の容量で約90~160万円程度とされています。

メリットの部分で自家消費による電気代の節約を挙げましたが、この初期費用を回収するのは「不可能」です。

現時点の価格相場、電気料金で蓄電池の導入を検討される方は、経済性ではなく、あくまで「災害時の非常用電源」として考えましょう。

また全負荷・特定負荷、蓄電池の容量等によっても価格はかなり変わってくるので、ご家庭ごとにどの程度の蓄電池が必要なのかはよく検討しましょう。

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損をする

「蓄電池とセットが標準」の営業トークに注意!

2019年11月に固定価格買取制度(FIT)終了が始まることを受け、多くの太陽光業者が蓄電池の販売に力を入れています。

そんな中、訪問販売の営業トークやネットの過大広告を信じ、高額で蓄電池を購入してしまったと後悔してしまった方が増えています。

「蓄電池を付けるのは今はあたりまえですよ」といった営業トークは売り上げを伸ばしたい悪徳業者の可能性もあります。

またホームページなどに計算根拠の示さないシュミレーションや、根拠となる数字が現実とはかけ離れたものである場合にも注意が必要です。

「蓄電池をいれると損になるのは当たり前」これは覚えておきましょう。

寿命は10~15年程度

太陽光発電の蓄電池の寿命は10~15年程度であり、メーカーの保証期間もそのくらいで設定されている場合がほとんどです。携帯のバッテリーに寿命があることを想定してもらえればわかりやすいでしょう。

蓄電池の寿命は「充電の満タン→完全放電」を何回行ったか(サイクル回数)で表され、実際の寿命はメーカーや種類で大きく異なります。

ただし、太陽光発電の寿命が25~30年あるいはそれ以上であることを考えると、蓄電池は途中で1回か2回交換する必要があります。

蓄電池の価格が100万円であるのならば、100~200万円が追加的に必要なのです。

太陽光発電を買うときに、買っておしまいああよかった。といえる内容ではないことを知っておく必要があります。災害が来た時にさあ使おうと思ったら、すでに寿命が来ていてほとんど使えなかったということにならないようにしましょう。

蓄電ロスが発生する

蓄電池を導入するメリットとして、自家消費が増えることをあげました。もちろんそれは事実なのですが、蓄電池を使うことで「ロス」が発生することも押さえておきましょう。

ロスの発生は、蓄電池で充放電した電気のおよそ10%ほど。それだけ自家消費や売電が少なくなってしまうのです。

電気の基本は、「創ったらすぐに使う」ということです。「貯める」ことにはそれだけもったいない部分が発生してしまいます。

もし蓄電池の導入を検討するなら

蓄電池

ぜひ活用したい『補助金』

蓄電池導入にあたって、再生可能エネルギー、創エネ促進に向けた補助金が適用される場合があります。

自治体や各条件によって適用される額は異なるので一概には言えませんが、費用の3分の1をカバーしてくれる補助金などもありますので、ご自身の地域にそのような補助金があるかどうか確認してみることをおススメします。

各年度ごとに発表しているケースもあるため、期限などには注意しましょう。

これから太陽光発電を導入する方は10年後でもOK

現状は経済効果に対して初期費用が高いですが、現在の価格も過去と比べるとかなり安くなっています。

そして更なる価格低下を求める声が叫ばれており、今後も価格が下がっていくことが見込まれます。

太陽光発電自体をこれから検討している方は、10年間は固定価格買取制度(FIT)による売電収入を得て、10年後に蓄電池の価格が経済合理性を生むようであれば導入を検討するといった対応もありです。

まとめ:なにが重要か優先順位をつけることが大事

まとめ:なにが重要か優先順位をつけることが大事

一番大事なことは太陽光発電導入にあたって各家庭で重要視している点を順位づけることです。

ほとんどの方が災害時の非常用電源が欲しいですし、環境にとってより良いエネルギーを使いたいですし、そして経済性が必要です。

そのなかで一番に何を望むのかをよく検討し、ご自身の望みに合うものを提案してくれる業者を探すことが後悔のない太陽光ライフに繋がります。

太陽光発電・蓄電池の検討は必ず複数社から見積もりを取って、できるだけ多く比較しましょう。

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