太陽光発電におけるパワコンの選び方【チェックポイント】

太陽光発電といえば、屋根の上に目立つ太陽光パネルばかりに目が行きがちですが、パワーコンディショナー(以下、「パワコン」)も太陽光発電とは切っても切れない重要な役割を担う存在です。

パワコンは、「PCS(Power Conditioning System)」や、海外では「PVインバータ」と呼ばれたりもします。

この記事ではそんなパワコンを比較する際のチェックポイントについてわかりやすく解説していきます。

パワーコンディショナーの役割

パワーコンディショナーの役割

発電した電気を家庭で使えるようにする

パワコンとは太陽光で発電した直流の電気を交流に変換するための機器です。 

普段わたしたちが電力会社から購入して使っているのは「交流電力」です。つまり、太陽光パネルで発電した「直流電力」をパワコンを通して「交流電力」に変換することで、やっと太陽光で発電した電力をつかえるようになるというわけです。

売電するために電圧を調整

太陽光発電設置者にとって大きなメリットの一つとなっている「売電」を行うには、太陽光パネルで発電した電気をパワコンから外の電線に電気を流す必要があります。

これを「逆潮流」と言います(普段わたしたちが電力会社から電気を購入する際の電気の流れは「順潮流」と言います)。

この逆潮流を行う際は、パワコンの電圧を電線の電圧よりも高くしないといけないのですが、100V供給の電圧の場合は101V±6Vもしくは202V±20Vを超えない範囲と定められているため、パワコンでその範囲に調整しています。

この電圧を調整する機能を「電圧上昇抑制機能」といいます。

家の電化製品や電力系統を守る

電力会社は電線を通して各家庭などと繋がっており、そこに通す電力の周波数や電圧は一定となるように維持しています。

パワコンは周波数の上下を検出したり、電圧不足や過電圧・停電を検出して太陽光発電システムと電力会社を切り離したりして家電や電力系統を守って保護する機能を持っています。

この機能を系統連系保護機能をいい、自分の家だけでなく、周囲全体のトラブルへと繋がる事故から守ってくれます。

パワーコンディショナーを選び方【チェックポイント】

①最大定格出力

最大定格出力とは、パワコンが出力することができる最大の電力値のことです。

太陽光パネルの合計定格出力がパワーコンディショナーの最大定格出力を上回っていた場合、超えた電力分は変換することができないため、発電した電力を捨ててしまうことになります。

そのまま太陽光パネルの合計定格出力が上回ったまま(過積載)が良いのか、パワコンを2台等用意するか、少しパネルの枚数を減らすのかのトータルメリットの判断は各価格や補助金の対象となる条件等によっても異なります。

②変換効率

太陽光パネルで発電した電気を100%活用できるかといえば、そうではありません。

パワコンを通して直流から交流に変換する際ロスが発生します。変換効率が100%に近いほど、より発電した電力を有効に活用することができることになります。

メーカーによって異なりますが95~97.5%の変換効率を実現しているものが多く、あまり差がつかないところになるので、あまりに変換効率が低い場合だけ他のパワコンを検討するという程度で良いでしょう。

③保証

太陽光パネルの寿命は20~30年ですが、パワコンの寿命は10~15年とパネルと比較すると少し短めです。

つまり、太陽光発電の運用中にパワコンの寿命が少なからず来る可能性が高いということです。

10年保証のパワコンが多いですが、パナソニックなどではパワコン単体購入であっても無償で15年保証です。

寿命と保証期間がどっちが先に終わりが来てもおかしくないので、できるだけ長い保証期間のものを選ぶほうが望ましいでしょう。

 
なお、導入を検討する際のシミュレーションはパワコンの交換費用を含めていないものもあるので注意です。当サイトのシミュレーションはパワコンの交換やメンテナンス費用も加味していますので、ご安心ください。

④大きさと設置場所(屋内or屋外)

住宅用は比較的小さい場合が多いですが、パワコン設置にあたってスペースを確保する必要があります。

例えば、パナソニックの「VBPC255GM2」 の大きさは405×478×211mmとなっており、小型軽量化により施工性も向上しています。

パワコンには屋内設置用と屋外設置用があり、屋内設置の場合は分電盤(ブレーカー)の近くに設置する場合が多いです。

その際、浴室の近くに設置する場合は、そのパワコンが湿気に強いパワコンなのかは確認する必要があります。場合によっては故障の原因になります。

⑤運転音

パワコンが運転している間、少なからず運転音が発生します。

騒音レベルにうるさいというわけではありませんが、中には気になる方もいますので、特に屋外設置の場合は近隣の方の配慮のため確認しておきましょう。

基準としては40db(デシベル)という基準が用いられることが多いです。40dbは「市内の深夜」・「図書館」・「昼の静かな住宅地」くらいの騒音値とされています。

ちなみに夜についてはパワコンは停止していますので、安心してください。

⑥自立運転機能

自立運転機能とは停電時に太陽光で発電した電力を使用することができるパワコンの機能です。

使用電力には上限がありますが、それでも一部電気を停電時に利用することができればありがたいですよね。

パワコンには自立運転機能がついているものと、ついていないものがありますので、ここも確認しておきましょう。

 
自立運転機能についてさらに詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
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⑥価格

太陽光発電システム全体で導入されている場合はシステム価格として産出することが多いため判断が難しいですが、パワコンを複数社用意している販売店の場合はパワコンの種類だけ変えた見積もりを比較してみると価格差を判断できるかもしれません。

買い替えの目安は工事費含めて20~30万円ほどとなっています。

ちなみに、パワコンに蓄電池の機能を加えたハイブリットパワーコンディショナーは、非常に高額ですが、普通のパワコンとは別物として考えましょう。

⑦MPPT(最大電力追従制御)

パワコンは直流から交流に変換するだけではなく、太陽光発電の発電量を最大化する役割も担っています。

天気の移り変わりによる日射量や温度の変化は電流や電圧にも変動をもたらします。

その変動する電流と電圧の組み合わせの中から、最も発電量が最大となるものを選び取ってくれる機能がMPPT(最大電力追従制御)です。

天気が常に一定の地域はありませんから、この役割も非常に重要な要素です。

MTTP自体はパワコンに搭載されていることが一般的です。

このMPPTを行うパワコンには、その方法により「集合型」と「マルチストリング型」の2種類があります。

【集中型】

太陽光パネルからの入力回路を1つにまとめて電力変換を行うため、太陽光パネルの枚数を回路ごとに揃える必要があります。(枚数を揃えられない場合は、昇圧回路付の接続箱が必要)

【マルチストリング型】

太陽光パネルからの入力回路ごとに電力変換を行うため、パネルの枚数を回路ごとに揃える必要がありません。屋根に合わせてより多くの太陽電池を設置することができます。

つまり、ポイントとしては「昇圧機能の有無」となります。

パワコンに電力を送る際、各ストリング(太陽光パネルを直列に組み合わせたブロックのこと)の電圧を揃えなければいけないという条件があります。

屋根の設置面ごとにパネルの容量が異なる場合、昇圧機能により、同じ電圧に合わせるように調整します。

ちなみに「集中型」・「マルチストリング型」という呼び方はパナソニック独自のものですので、あくまで昇圧機能があるものかないものかで判断してください。

パワーコンディショナーは太陽光ライフにとって重要な存在

パワーコンディショナーは太陽光ライフにとって重要な存在

これまで解説してきた通り、パワーコンディショナーは小さいサイズながらも非常に多くの、そして重要な機能を持った機器であり、太陽光発電には欠かせないものです。

各チェック項目を正しく理解し、長期に渡る太陽光発電の運用に役立てていきましょう。

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