太陽光発電の耐用年数は【17年】|確定申告のルールを理解しよう!

みなさんは「耐用年数」という言葉を正しく理解できていますか?

中には、耐用年数をその機器などの寿命と勘違いしている方も多いようです。

この記事では、そもそも耐用年数とは何か、太陽光発電における耐用年数、どのように耐用年数を扱うか等について解説していきます。

「耐用年数」とは何か

「耐用年数」とは何か

耐用年数とは簡単に言えば、「税金を計算するときに利用する便宜上の使用可能期間」のことです。

重要なことは「実際の寿命=耐用年数」ではないということです。

減価償却という考え方

私たちは支払う税金の計算を行う際、様々な利益と費用を計上します。

しかし、例えばプリンターを購入してその年に全額費用として計上するのはどうでしょう。

実際はその年だけに使用するのではなく、もっと長い期間使用し、徐々に劣化によってやがて使えなくなるものですよね。

その考え方を税金の計算にも取り入れ、費用を使用年数に分けて計上しましょうというのが「減価償却」です。

またそのような資産を「減価償却資産」といいます。

一方、その使用年数は各機種の性能や使い方などで変わってきてしまいます。

そこで同じ分類のモノは一定の使用年数で税金の費用計上するために「耐用年数」が用いられます。

太陽光発電における耐用年数

太陽光発電における耐用年数

耐用年数の区分

先述の通り、耐用年数は固定資産の種類や構造、利用方法などによってそれぞれ区分されています。

基本的に太陽光発電は「機械及び装置‐前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの‐主として金属製のもの」に分類され、耐用年数は「17年」だとされています。

実際の太陽光発電システムの寿命は?

耐用年数は17年ですが、実際の寿命はどれくらいなのでしょうか?

一般的に太陽光パネルは20~30年、パワーコンディショナーは10~15年と言われています。

減価償却を行う場合は太陽光発電機器すべてを17年の耐用年数

太陽光発電の所得区分

耐用年数を用いて税金の計算をする際、まずは太陽光発電による収入の所得区分を知る必要があります。

太陽光発電は状況に応じて「雑所得」・「事業所得」・「不動産所得」のいずれかに分かれます。

状況にもよりますが、ほとんどが以下のケースのどれかに当てはまります。

【余剰売電】

  • 会社員などが太陽光発電を自宅に設置した場合は「雑所得」
  • 自宅兼事務所・店舗に太陽光発電を設置した場合等は「事業所得」
  • 賃貸物件に太陽光発電を設置した場合は「不動産所得」

【全量売電】

  • 個人が全量売電を行う場合は基本的に「雑所得」
  • 50kW以上は「事業所得 」
  • 50kW未満でもフェンスや除雪・除草を行っている場合や賃借した建物や土地の上に太陽光発電を設置した場合は「事業所得」

事業所得か雑所得かの判断は事業性が伴うかの総合的判断が必要になります。

住宅用太陽光発電の場合

自宅の屋根に太陽光発電を設置し余剰売電を行う場合、発電した電力の使い道は2つあります。

自家消費をして電気代を節約するか、余った電力を電力会社に売電して売電収入を得るかです。

税金上の収入として計上するのは後者の売電収入のみです。

多くの方が該当するであろう「雑所得」は年間の所得が20万円以下であれば基本的に確定申告は不要です。

【年間の雑所得が20万円以下でも確定申告が必要な場合】

  • 年間給与収入が2,000万円を超えている
  • 医療費控除等を受けるために確定申告をする必要がある
  • フリーランスや個人事業主など確定申告がそもそも必要な場合
  • 年末調整をしていない
  • 同族会社の役員やその親族から貸付金の利子や資産の賃貸料などの収入を得ている

かなり大きい屋根でない場合は20万円を下回ることが多く、その場合は耐用年数・減価償却などを必要とすることはありません。

一方、所得税の申告は不要でも住民税の申告は必要です。

20万円を超える場合は耐用年数を17年として減価償却資産として計上します。

このような場合は注意!

基本的に太陽光発電の耐用年数は17年ですが、状況によっては異なる場合もあります。

実際にあったケースとしては太陽光発電で発電した電力を用いて自動車を製造していた自動車メーカーです。

この場合は、自動車製造にかかる設備として判断され、「機械及び装置‐輸送用機械器具製造業用設備」として区分し、耐用年数9年が適用されました。

個々の状況による実質的な判断が必要です。

耐用年数を用いた減価償却の計算

耐用年数を用いた減価償却の計算

定額法と定率法

太陽光発電設備を耐用年数を用いて減価償却する際の計算方法は2つあります。それが「定額法」と「定率法」です。

定額法

定額法は、毎年同じ金額を減価償却で費用計上していきます。

170万円の太陽光発電(耐用年数:17年)を減価償却する場合、毎年10万円を費用として計上します。

定額法のメリットは帳簿がシンプルでわかりやすくなる共に、初期利益が高くなるメリットがありますが、節税効果が薄いというデメリットがあります。

定率法

定率法は毎年同じ割合で減価償却で費用計上していきます。

より具体的には、「減価償却費=未償却残高×定率法償却率」で求めることができます。

太陽光発電の耐用年数である17年の償却率は0.118となります。

また、年数が経ちその年の減価償却額が「償却保証額」を下回った場合、その年からそれ以降は「改定償却率」を使います。

償却保証額は「資産の取得価格×耐用年数に応じた保証率」で求めることができます。

つまり、償却保証額を下回る場合、それ以降は定額で償却していきます。

太陽光発電の耐用年数である17年の保証率は0.04038、改定償却率は0.125です。

例えば、太陽光発電システム170万円、耐用年数17年(償却保証額:68,646円)の償却の流れは以下の通りです。

年数年初残高償却可能額年末残高
11,700,000200,6001,499,400
21,499,400176,9291,322,471
31,322,471156,0511,166,420
41,166,420137,6371,028,783
51,028,783121,396907,387
6907,387107,071800,316
7800,31694,437705,879
8705,87983,293622,586
9622,58673,465549,121
10549,12168,640480,481
1148049168,640411,481
12411,48168,640343,201
13343,20168,640274,561
14274,56168,640205,921
15205,92168,640137,281
16137,28168,64068,641
1768,64168,6401

10年目以降は残高549,121円に改定償却率0.125をかけた68,640円が一定で償却されているのがわかります。

ちなみに最後に1円残しているのは備忘価額です。

通常減価償却を行っていくと、まだ現実で使用しているにもかかわらず帳簿の価額がゼロになることがあります。備忘価額は資産を帳簿上で管理するために1円や10円で残しておきます。

定率法は始めのころは節税効果が大きいため、その分早期に償却による回収ができますが、帳簿の取り扱いは複雑になります。

シミュレーションで想定してみよう

シミュレーションで大まかな想定してみよう

先述の通り、一般的な住宅用太陽光発電の場合は「雑所得」に分類され、基本的に雑所得の確定申告は不要なケースが多いです。

しかし、ざっくりでも自身の場合は必要な可能性が高いのかどうか導入前に知っておきたい方が多いのではないでしょうか。

そんなときはシミュレーションをしてみましょう。

みんなの太陽光発電のシミュレーションは地域や方位に合わせた発電量から想定売電収入と電気代節約額を分けて確認することができます。

実際は天候などによって異なりますが、大まかに知っておくには十分でしょう。

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