オール電化とは、その名の通り、家庭内で調理・給湯・冷暖房で使用するエネルギーを電気でまかなうことです。
オール電化は近年急速に導入する住宅が増えており、2025年には1,000万戸に達することが予測されています。
これは日本全体の20%の住宅でオール電化が普及する計算です。
この記事では、一足先にオール電化導入を検討している方に向けて、オール電化のメリットやデメリットを解説します。
『オール電化』とは具体的に何を導入すること?
普段私たちは家庭内で様々なエネルギーを使っています。
そのなかでお湯を使ったり、料理で火を使うにはガスを利用しており、これらのような家庭で利用する水道以外のエネルギーをガスから電気にするのがオール電化です。
- 給湯:エコキュート・電気温水器
- 調理:IHクッキングヒーター
- 冷暖房:エアコン・床暖房・蓄熱暖房機
具体的には上記のような設備を指しますが、「エコキュート」と「IHクッキングヒーター」セットでオール電化と呼ぶことも多いです。
費用はメーカーや容量などにもよりますが、「エコキュート」と「IHクッキングヒーター」のセット(工事費込み)で60~90万円程度が相場とされています。
オール電化のメリット・デメリット
メリット
ガス代と比較して電気代の方がお得
オール電化を導入している家庭にはオール電化向けの電気料金プランがあります。
夜間の電気料金が安く、その時間にエコキュートで翌日分のお湯を貯めておきます。
世帯人数や地域にもよりますが、オール電化にすることで毎月2,000~3,000円程度光熱費がお得になるとされています。
このお得さがオール電化の最大のメリットと言えます。
基本料金を一本化
オール電化にすることでガスを利用しなくてよくなるので、ガスの基本料金が不要になります。
例えば、東京ガス一般契約で1ヶ月のガス使用量が30㎥の場合、基本料金は1,056円になりますので、年間12,672円の節約になります。
また電気代に一本化することで管理も楽になります。
火を使わないため安全
IHクッキングヒーターは炎がでないため、火災に繋がる可能性を低くすることができます。
調理器具の異常過熱などで出火する可能性もありますが、それでも直接火を使うよりはリスクを軽減できるでしょう。
またIHクッキングヒーターは掃除も簡単で、手間がかからない点も魅力的です。
火災保険の割引制度
「火を使わないため安全」ということは、それだけ火災保険の保険料を安くすることができる可能性があります。
そもそも火災保険に入らない選択肢や、「オール電化住宅割引」などの呼称でよばれる火災保険の割引を適用させることで通常よりもお得に火災保険を受けることができます。
SBI損保や楽天保険などを含め、オール電化住宅割引は多くの保険会社で確認できました。現在入っている保険を見直してみるのがいいでしょう。
断水時にエコキュートの水が利用できる
東日本大震災では、19都道府県・約257万戸で断水が発生しました。
オール電化設備の1つであるエコキュートはタンクにお湯や水を貯めており、断水時には非常用水として利用することができます。
370Lエコキュート場合、約2~3日の生活用水として利用できます。
ただし飲料水としては利用しないよう注意喚起しているメーカーが多いです。
また、震災などでライフラインがストップした際、ガスや水道よりも電気の方が復旧が早いケースが多いため、災害時の安心にも繋がります。
デメリット
初期費用が高額
いくらガス代の基本料金や使用量が節約できたとしても、初期費用がペイできないのであれば費用対効果は薄いです。
先述の通り、IHクッキングヒーターとエコキュートのオール電化の導入には60~80万円程度かかるのが一般的です。
そのためガスの使用量が少ない家庭ではあまりメリットを享受できないかもしれません。基準としては月6,000円以下のような家庭ではあまりお得ではないケースが多いです。
またガス使用量が多い家庭でも、一般相場よりも高い価格での導入では難しいでしょう。
この導入費用には特に拘りましょう。
停電時はなにもできない
オール電化はいうなれば、ガスから電気に集中させることですので、停電してしまっては家庭での生活が非オール電化住宅よりも制限されます。
しかし、メリットで述べた通り、水やガスよりも電気の方が復旧が早いことが一般的です。
上図の通り、日本は世界の中でも平均的な停電時間は短いです。
一時期突出しているのは東日本大震災の時で、それ以外の年は年間20分以下の停電時間です。
確かに停電時には制限される項目が増えるものの、非常事態以外はあまり気にならない程度なのではないでしょうか。
昼間の電気代に注意!
エコキュートを利用する際、夜間に安い電気料金プランを契約して夜のうちに翌日のお湯を貯めておくのが一般的だと述べました。
これのデメリットは昼間の電気代は通常の電気代よりだいぶ高くなってしまうということです。
例えば、東京電力の一般的な電気料金プランである「従量電灯B」と、オール電化用の電気料金プランである「電気上手」の単価を比較してみましょう。
120kWhまで | 120~300kWhまで | 300kWh超過分 |
19.88円 | 26.48円 | 30.57円 |
朝・晩 | 昼間 | 夜間 |
26.49円 | 39.44円 | 12.48円 |
「従量電灯B」は時間帯ではなく、使用量に応じて順々に単価が上がっていきます。
オール電化にすることで電気の総使用量は増えますが、それでも昼間の単価は気になります。
このことを知らずに昼間に電気を使いすぎると、「トータルで全然お得になっていない!」なんて可能性もありますので注意が必要です。
オール電化を導入するなら「太陽光発電」もセットが◎
家庭内で利用する水道以外のエネルギーを電気にするオール電化ですが、ぜひとも一緒に検討したいのが「太陽光発電」です。
太陽光発電はオール電化の弱点を見事に解消してくれ、相性が非常に良いです。
停電時に電気が使える
オール電化の弱点に停電時には何もできないというものがありましたが、太陽光発電では、停電時に発電した電力を使用することができます。
しかしその使用電力の上限は1,500Wまでです。
そのためあくまでも災害時の非常用電源としての役割に留まります。
もっと多くの電気を使用したい場合や太陽の出ていない夜間の電気にも対応できるようにしたい場合は蓄電池が必要になります。
電気代が高い昼間は自家消費
住宅用太陽光発電では自宅の屋根で発電した電気を家庭内でそのまま利用することができ、その間は電力会社から電気を購入しなくて済むので電気代の節約になります。
電気代の高い昼間は太陽光発電による電力を使用し、電気代の安い夜間でエコキュートなどを使用すれば、お互いの弱点をカバーしあうことができます。
さらに自家消費せずに余った電気は電力会社へ売電できるため、太陽光発電単体でも経済メリットは大きいです。
太陽光発電も業者選びが重要
太陽光発電はオール電化以上に初期費用が重要です。
なぜなら太陽光発電はメーカーが同じ商品でも販売店による価格差が非常に大きいためです。
適正価格で設置できれば経済メリットが大きいのですが、高額で契約してしまうとむしろ損をしてしまう可能性もあります。
そうならないためには各個人の状況に合わせたシミュレーションを行いながら、コストに対する経済メリットを想定することが大切です。
オール電化と太陽光発電を上手に組み合わせて、さらなるお得を目指しましょう!