太陽光発電の意外と知られてないメリットに「夏は涼しく、冬は暖かい、快適や住環境が得られる」というものがあります。
しかしそんなことは本当にあり得るのでしょうか?
この記事では、太陽光発電にそのようにいわれる理由とその仕組みについて解説します。
太陽光発電の「遮熱効果」と「放射冷却抑制」

太陽光発電が快適な住環境を手に入れられるとされる理由は「遮熱効果」と「放射冷却抑制」にあります。
具体的にどのような仕組みで、どのような効果があるのか、夏と冬の場合に分けて見てみましょう。
夏は涼しく
これはイメージしやすいかもしれません。
太陽光パネルを屋根に設置すると、太陽光の熱をある程度シャットアウトしてくれるため、室内の温度が上昇するのを防いでくれます。
これを遮熱効果といいます。

では、屋根に太陽光が直接当たることによる温度上昇は、どれくらいの違いがあるのでしょうか。
屋根材の下にある野地板の裏面でそれぞれ温度を測定した結果は以下の通りです。
パネル設置なし | パネル設置あり | 温度差 |
49.32℃ | 38.4℃ | -10.92℃ |
なんとその差は10℃以上もあり、室温としては2~5℃程度の差になるといわれています。
屋根への直射日光による室温上昇は当然野地板を伝ってきますので、この差は室温にも影響してくるというわけです。
日傘をイメージするとわかりやすいですね。
屋根に近い2階部分は特に屋根からの室温上昇を受けやすいので、遮熱効果が特に期待できます。
冬は暖かく
では、冬は暖かくなるというのはどうでしょう?
これは一見イメージしにくいですよね。
なぜなら、先述した遮熱効果が太陽光パネルにあるとするならば、冬は寒くなってしまうのではないかとの疑問が生じるからです。
では、実際の温度差はどうでしょう。
パネル設置なし | パネル設置あり | 温度差 |
8.12℃ | 13.35℃ | 5.23℃ |
なんと冬の場合は5℃近く野地板の裏の温度が高い結果になっています。
これは遮熱効果ではなく、「放射冷却の抑制」が働くためです。
放射冷却とは、簡単に言えば物体が外へ熱を出すことで、その物体が冷えてしまうことです。
炊き立てのごはんを開けるとブワっと蒸気が上に向かって出ます。あの現象が放射冷却です。
地球は太陽から光を浴び、地球からは赤外線と呼ばれる目には見えない光として熱を宇宙へ向けて放出しています。
昼間は地球から放出する熱よりも、太陽から受ける熱のほうが強いため、地面は温められます。
一方、夜や早朝は太陽からの熱よりも、地球からでていく熱のほうが強いため、地面は冷えていきます。
これが放射冷却の仕組みです。

太陽光パネルが屋根に設置されていると、屋根から宇宙へ向けて出ていく熱がパネルによって抑制されるため、熱が出ていきにくくなります。
つまり、「放射冷却抑制」は一番冷え込みがきつくなる夜間から早朝にかけて室内の温度が暖かくなるということです。
以下は、放射冷却抑制の効果を実験したものになります。
屋根に温度計測用のアルミを2セット設置し、一方には太陽光パネルの役割を果たす合板を設置し、時間帯ごとの温度を図ります。


結果はご覧の通り。
太陽光発電設置を表す屋根黒(ピンク線)と非設置を表す外黒(赤線)を比較すると、夜から早朝にかけては太陽光発電を設置した場合のほうが温度が高いことがわかります。
一方、太陽の出ている昼間については遮熱効果があるため、太陽光発電を設置していない方が温度が高くなっています。
つまり、太陽光発電を設置することで「冬が暖かい」というのは半分あっていて、半分間違っています。
正しくは、「寒さがきつい夜や早朝は暖かく、昼間は温度が下がる」ということになります。
遮熱効果と放射冷却抑制で電気代もお得に!

電気代の中で高くなりやすいものは何だと思いますか?
それはエアコンです。
消費電力も大きく、使用時間も長くなりがちなエアコンは電気代節約の壁となります。
太陽光パネルの遮熱効果と放射冷却抑制は、ついエアコンを使いがちな夏の一番暑い時間帯と冬の一番寒い時間帯に恩恵をもたらしてくれます。
完全に使う必要がないとまでは言わなくとも、例えば1℃冷房と暖房を節電するだけでも、10%の省エネに繋がります。
太陽光発電はこうした副産物も得られるのも魅力的です。
太陽光発電で快適な住環境を!

これまで意外と知られていない、太陽光発電の遮熱効果と放射冷却抑制をお伝えしてきました。
太陽光発電は売電収入などばかり注目されがちです。
しかし、今回説明したような快適な住環境や、さらには災害時の非常用電源としても活躍するなど、私たちの生活自体にも大きなメリットがあります。
みんなの太陽光発電では、そんな太陽光発電をお得に設置できるお手伝いをしています。
確かな経済性メリットとさらなる快適な生活を実現していてはいかがでしょうか。